Section 1

#1 Bad Orange


「白居さん。企画の草案ラフプラン、拝見しました。私個人としては、面白いと思います。ただ恐らく経理から人件費について厳しく指摘されると思います。予算の問題はいつものことなのでクリアできるとは思いますが、やはり、社長だけは納得しないと思います」


 思います、と言ってあくまで自分は傍観者だということを、暗に主張するこの中年女性は私の上司である、長瀬ながせチーフだ。この企画部に長らくその腰を据えているおつぼねさんでもある。


「先輩、俺もぜひ実現してほしいと思うス。この社の存続を掛けた、決定的な一打になると思うス」


 思うス、とほとんど「も」と「ス」しか聞こえないような喋り方をするこの若い男性社員は、去年入社したばかりの若宮わかみやだ。本来、企画部に新入社員が配属されることはないのだが、元々インターンシップで働いていた経験と、大学で観光学を学んでいたという経歴から、鳴り物入りでこの企画部に抜擢された。


「私も今回はかなり勝負に出たつもりです。いつもの企画では売れませんから」

 

 そしてこの会社に勤めて五年、アラサーを間近に控えた私、白居しろい美佳みかは鼻を鳴らして企画書の束を机上に叩きつける。


「気合入ってますね、美佳さん! 正直言うと、いつも同じ企画ばかり組まされて俺も飽き飽きしてたっス」

「若宮さん、いつもそんなことを考えて仕事していたんですか?」


 長瀬チーフの鋭い視線が若宮を刺す。


「やっ、あのっ、チーフぅ……違いますよぉ。毎年恒例の、春先のウォーキングツアーも、冬の雪見温泉旅行も俺らにとっては大事な仕事っス。ただ企画部に配属されたからには、斬新なアイディアとか出していきたいじゃないスか。こんな小さな会社でも一応、花形っスよ? チーフもそう堅くならずにいきましょうよぉ」

「わ、若宮さん…? あとで面談室に来てもらえますか? 話したいことがありますっ……」


 長瀬チーフの鼻先がウサギのようにピクピクと動く。怒りを抑える時に発現する彼女特有の症状だが、実際にウサギの可愛らしさは微塵も持ち合わせていない。


「若宮、調子に乗り過ぎよ。あなたはその定常事務だって、ままならないんだから。そんなこと言える資格はないわよ」

「美佳さん、キビシー」

「でもチーフ」

 

 私はキッとチーフの両眼を見つめる。


「彼の言ったことは的を得ています。次から次に新しい流行が生まれ、古いものが廃れていくこの業界で、今のまま高齢層の固定客に頼っていては、いつかこの会社は潰れてしまいます。私の案は些か突飛とは言え、新たな門戸を開くきっかけになると思うんです。なので承認してください……、お願いします」


 私は深々と頭を下げる。長い黒髪がさらりと頬を撫でた。


「……」

 

 チーフは無言だった。その表情を見ることはできないが、彼女がひどく悩んでいるのは分かった。(他一人があのような体裁なので心中はお察しするが)彼女にとって私はこの部で唯一頼れるパートナーだろう。間違いなく私はこの数年のうちに彼女の信頼を得ていたと思う。その私から起案された大胆な企画に、戸惑うのは無理もない。


「お、俺からもお願いするっス!美佳さんに花持たせてあげたいっス!」

 

 若宮が慌てて頭を下げる。このバカ。花持たせたい、ってなんか普段から私がドン臭い女みたいじゃない。でもこの際仕方がないか。若宮の頭でも、私一人が頭を下げるよりはマシだ。数は少ないが人海戦術と行こうじゃないか。向こうで総務の片山さんがこっち見てるし。どうです、片山さんも一緒に―――。


「分かりました」

 

 チーフの短い返事に、私は顔を勢いよく上げる。


「チーフ、本当ですか!」

「はい。社長を納得させるのは骨が折れると思いますが、通してみる価値はあると思います。あくまでそこは白居さんのプレゼン力と交渉力次第だと思いますが」

 

 「思います」という口調には相変わらず自信の無さが見え隠れしている。ただ私にとってそんなことはどうでもいい。チーフがこの企画を承認した、その言質げんちを取った、それだけで十分だ。


「すぐに会議用の資料を作ります!」

 

 自分が一から考えた企画を通せる。日本でまだ普及していないニューツーリズムを生み出すことができる。私は四半期あまりの人生で、この日ほど心の高鳴りを感じたことはなかった。

 

 ―――さてこの感動を伝えるために、私の会社とこの業界について説明しようと思う。


 新卒より中途採用が優遇されやすいと言われる旅行業界で、私は縁あって大学在学中にこの旅行会社から内定をもらった。元々業界に興味はあったが、大手に行けるほどの学歴もなければ、ツアーオペレーターのような専門的な会社に行けるほどの能力を身に付けていなかった私は、地獄に垂らされた一本の糸を掴むように、迷うことなくこの会社に入社することを決意した。


 旅行業界には様々な役割を持った会社があり、『サプライヤー』『ホールセラー』『リテーラー』と大きく三つに分かれる。


 『サプライヤー』は移動手段や宿泊場所を提供する立場で、航空会社、鉄道会社、バス会社、そしてホテルや旅館などがこれに当たる。旅行の三要素であるアゴ(食事)・アシ(移動)・マクラ(宿泊)を供給する重要な役割だ。


 『ホールセラー』はサプライヤーが提供するサービスを元に、旅行の内容を企画する立場にある。大小様々あるが一般に旅行会社と言われる企業がこれに当たる。どれだけ有名な観光地も企画次第でその良し悪しが決まってしまうため、旅行商品の価値を決める上でたいへん重要な役割である。


 最後に『リテーラー』はホールセラーの企画した商品を売る立場にある。一般に旅行代理店と言われ、大型ショッピングセンターなどに店を構え、店頭カウンターで販売するカウンターセールスが主流である。旅行者にとって身近な窓口となるため、その重責も大きい。なぜなら旅行者がその商品を買わなければ、そもそもサプライヤーとホールテラーの努力も水泡に帰すからだ。


 業界の言葉は、やたらとカタカナが多くて分かりづらいが、お気に入りの木製ペン立てで例えると、サプライヤーである林業家から、ホールテラーである木材加工業者が木材を買い付ける。そしてそれをペン立てに加工し、リテーラーである文房具屋がそれを買い付ける。最後にそのペン立てを店頭に並べ、消費者が購入する…、という流れだ。


 私が勤める旅行会社『イー・トラベル』は不況が謳われて久しいこの旅行業界では珍しい中小企業の一つだ。特定の分野に特化し、生き残りを図る企業が増える中、我が社はホールテラーでありながらリテーラーも務める欲張りな形態を採っている。というのも、元々中堅ネット企業の子会社として設立された我が社は、インターネット上で簡単に決済ができるシステムを活用し、ネット直販型の販売形態を売りにしてきたためである。つまり買い付けた木材からペン立てを製造し、その場でネット販売するということである。本来はこのように親会社の持つITの知識を武器に革新的なサービスを打ち出し、日本の旅行業界にその名を知らしめる……はずだった。のだが、親会社から派遣されてきた雇われ社長が会社の方針を意に介さず、保守的な行動を取ってきた結果、会社は目下業績不振に喘いでいる。


 では、なぜ今もこうして我が社は倒産せずにいるかといえば、それは系列法人の従業員たちに安値で旅行商品を売りつけているからだ。親会社は生き馬の目を抜くネット業界で、長年にわたってその中ボス的な立場を堅持している老舗だ。そんな会社の懐に肥やしのように溜まっているのは資金ではなく、コネである。枝から枝が伸びるように子会社を増やし、その勢力を伸ばしてきた結果、グループの構成員はおびただしい数となっている。

 そんな彼らの為に毎年、変わり映えのしない旅行プランを提供するのが我が社『イー・トラベル』だ。グループ社員の方々には市場売値より安くお買い求めいただいているが、その母数が膨大なので我が社を支える主な収入源となっている。実際、立派なホームページを構えて一般のお客様にも販売しているが、グループ社員の売り上げの三分の一にも及ばない。


 こんな状況下で、人の興味を引く斬新な旅行商品を生み出せるはずがない。常に一定の収入があって、事務量を増やして工夫を凝らしても、収入に増減がないこんな環境ではやる気も失ってしまう。


 だから私は思い切って、三分の一に満たない一般のお客様に楽しんでもらいたいと思い、ある企画を考えた。


 それは人類の夢を叶える素敵な企画。


 一生に一度として味わうことができない、夢のような時間を過ごせる企画。


 誰もが待ち望んでいた夢の続きが見られる。


 そうね。

 キャッチフレーズは『夢の続きを、ここで見よう』……どうかしら。


 地球上の誰も体験したことのない感動を私が与えられるのよ。


 そう、のちにこれが私の人生を大きく変えようとしていたとはまだ誰も―――――」


 

 ポカンと口を開けた学生たちが、壇上の私を見つめる。

 講堂の大きな長机にまばらに座る彼らは訝しげに私を見つめていた。



「あの……、白居ちゃん?」

「この企画がハネて、世間はこの話で持ちきりになって、メディアが私を追いかけて、世界的に有名なトラベルプランナーになって、巨万の富と名声を得た私は―――」

「ちょっと!白居ちゃん!」

「え?」


 静まり返る教室に、私の名を呼ぶ女性の声が響く。


「なに? 季里きり

「なに、じゃないよ。白居ちゃん、今日みんなに話してほしいのはそういうことじゃないでしょ!」

「いや、だって……、仕事の楽しさを知ってほしいって言うから」

「それはいいけど、もっと旅行業界の話をしてもらわないと!」

「え…? 業界の? 話したじゃん。ほらこのペン立て!」


 私は机上に置いたお気に入りの木製ペン立てを高らかに掲げる。


「それもね……、分かりやすく説明してくれるのはいいけど、皆さん経済学部の学生さんだから、『生産者』『問屋』『小売店』って簡潔に言ってくれた方が分かりやすかったかもよ」

「え、昨日徹夜で考えたのに……」

「いいから、レジュメ通り話を進めてください」


 季里の、聞き分けの悪い子供を諭すような口調に、私はへそを曲げる。


「はいはい、分かりました。キョウ、ミナサンニオツタエシタイノハ……」

「白居ちゃん!真面目に!」

「むぅ……、今日皆さんにお伝えしたいのは旅行業界が求めている人材についてです。ではレジュメの三ページ目をご覧ください―――」


 私が今日、こうして小綺麗な教室で大学生たちを前に、授業を行っているのには理由ワケがある。それは、母校であるこの大学で社会人OB・OGによる就職説明会が連日行われており、その講師の一人に卒業生である私が選ばれたからである。決して教授職に転職したわけではないことと、私はモノを教えることが酷く苦手だということを申し添えておく。

 この大学の事務員である季里は私の旧友であり、ここで共に青春を送った仲である。今回の説明会は就活支援係である季里が主催しているため、旅行業界を代表して私に声が掛かった次第である。


 しかし前述のとおり神様は私に「教える」という人間が生存の為に身に付けた、重要な能力スキルを賦与するのを失念していたらしく、言葉遣いの酷い後輩を育ててしまったことは言うまでもないが、こうして壇上に立って教鞭を取っていても、その能力が酷く劣っていることは自分でもよく分かった。



「―――ということを踏まえた上で、私が皆さんに言いたいことは一つです。為せば成る!以上です!解散!」

 

 学生たちは退屈な時間がようやく終わったと言うようにわざとらしく欠伸をすると、蜘蛛の子を散らすように帰っていった。旅行業界は学生の間で人気のある業界だと聞くが、この様子ではそれも長くは続かないだろう。やれやれ、あのまま私の夢の話を続けていれば良かったものを……。


「ちょっと!白居ちゃん!」

「いたっ」


 ずんずんと駆け寄ってきて額を小突く季里。


「なに?」

「だから、なに?じゃないって。予定より五分も早く終わってるじゃない!どういうこと?」

「だってみんな退屈そうにしてたしさ、早めに切り上げたら喜ぶかと思って。ほら私たちも学生の時そうだったでしょ?一分でも二分でも早く終わってくれたら嬉しかったじゃん」

「白居ちゃんも、私も、もう学生じゃないでしょ。もう立派な社会人…、そうでしょ?」


 そう言ってふくれっ面をする季里に一瞬の青春を追憶する。季里は昔からこうだ。授業が早く終わっても私みたいにしなかった。他の授業の邪魔になるからと言って今みたいに注意してくれた。社会人なんて人間のみたいな、大それた肩書を背負っていても、その実、中身は変わらないものだ。


「でも言いたいことは言えたし、いいや!」

「学生さん達に伝わってればいいんだけど……」

「伝わってるって! 特に私が夢を語るとこなんて、みんな食い入るように聞いてたし」

「あれは、食い入るようにというか、物珍しいものを見るようにって感じだったよ。どちらかといえば」

「そう? ま、どっちにしても興味持ってくれればいいよ」

「その夢って……さ」

「なに?」

「前言ってた?」

「そうだね」


 季里には以前、私の馬鹿げた妄想とそれを現実にするための旅行プランについて相談した。彼女はその時、黙って背中を押してくれた。畑違いだから難しいことは分からないけど、友人として全力で応援すると言ってくれた。


「ラフプランはチーフに決裁を貰ったのよ。そんで来週、全体会議で社長に提案をする予定……なんだけど」

「なんだけど?」

「あの堅物社長を言いくるめる案が思いつかない!」


 私は頭を抱えて、天を仰ぐ。


「なるほどね……」

「せっかくあの臆病なチーフを味方につけたと思ったのに、肝心の最終関門を越えられる気がしない」

「白居ちゃん」

「ん?」

「私もね、本当のことを言うとこの説明会の企画案を上司に上げた時、反対されたの。旅行業界は大手旅行会社のOGに任せようって言われちゃった」

「え……?」


 講師として呼ばれたからには、てっきり大学側も私の招聘を快諾してくれているものだと勘違いしていた。心にぽっかりと穴が空く。


「でもね、白居ちゃん。私はその上司に言ってやったの。『白居美佳は私の知る人間の中で一番、旅行業界に必要なことを知ってる人間です。この業界を目指す学生たちの心に響くはずです。だからぜひ彼女を採用してください』って」

「季里……」

「だからその社長だって分かってくれるはず。白居ちゃんの熱い情熱が心に響くはずだよ」

「うん! 私……、頑張る!」


 季里は微笑む。そして徐々に口角を下げると、表情を暗くする。


「できれば、それを今日の講演でやってほしかったけどね……」

「ホントごめんなさい」



 *



 白居しろい美佳みか。私を私であると三十年近く証明してきた名前。親が付けてくれたこの「美佳」が私は大好きだ。特に「佳」という字に深い思い入れがある。幼いころの私は「土」を二つ並べるこの字に、泥臭く、田舎臭いニュアンスを感じていて、どうしても好きになれなかったのだ。しかし、ある年の夏、防災の標語コンテストに自分の作品がとして表彰された時に、この字の意味を知った。それから同じ「ミカ」さんに会っても、私は私の「美佳」だけは何か特別なものがあると思い込んできた。


 ただそんな自負と裏腹に、「白居」という名字が私を苦しめた。白居美香。しろいみか。しろいみかん。……白いミカン。


 ご存じだろうか。

 実家から送られてきた段ボール箱いっぱいのミカン。食べきれずにそれらを放置しておくと、底にあるものから次々と白い粉を吹きはじめ、初めは一つ二つ、やがて全てが白くなったかと思えば、外皮にこべりつくようにして黒ずんでいく。

 これらの正体、それはカビだ。箱に詰められたミカンはその周囲の圧力からやがて中の薄皮が破れ、果汁が外皮に辿り着くとそれを餌にカビ菌が繁殖し、あっという間に箱の中全てのミカンを……腐らせてしまう。

 小学生に上がったばかりの当時、「腐ったミカンの方程式」という言葉が話題になった。組織の中に一人でも害悪分子がいるだけでそれは伝染し、やがて成員全てを害悪たらしめるというものだ。その言葉を深く理解するのにまだ期は熟していなかったが、感受性豊かな子供たちにとって私は格好の良い餌食だった。白いミカンは悪者となったのだ。そうした無邪気な子供のイタズラは私を幼ないながらに苦しめ続け、今でもフルネームで呼ばれると体が強張ってしまう。どこか心の底で私を見下しているんじゃないか、そんなことをふと感じてしまう。


 とは言え、日々の苦労に重ねて心身の疲労を言い訳にしては社会人として生きていけない。そんな過去は心の引き出しにしまって、忘れたころに取り出してきては酒の肴にでもすればいい。


 私はすでにそうした心の整理ができる人間であり、これからもそうあり続けなければならない。さざ波のようにそぞろ歩いてくるストレスに打ち勝っていかなければならない。同期だって、旧友だってきっとそうしているし、社会に生きる人間はみながそうやって生きているはずだ。だから、白いミカンなんて思い出なんてどうでもいいことで、そんな子供じみた執着はすぐに捨て去るべきだ。


 童心というものをこの身から切り離すべきなのだ。


 と、そう考えれば考えるほどに私の中にある思いが増幅していく。失わなければいけないものを、捨てなければいけないものを、一瞬間でも取り戻すことができたらどうだろう。あの日、思い描いていた夢を現実に見られたらどうだろう。

 はっきり言って胸を躍らせない人間なんていないだろう。手放したくなかったから、それを夢と呼んでいたのだ。


 だから、私は考えた。私が叶えたいと願っていたあのころの夢を思い出して、を思いついた。スクリーンの中では、得意げな顔で一切れの木の棒を振る、ローブを身にまとったキャラクターがいた。その棒の先から粉末状のキラキラとしたものが宙を舞って、それが大きな木を纏ったかと思えば、その大木はあっという間に煌びやかな装飾が施されたクリスマスツリーへと変わった。そのローブ姿のキャラクターが「魔法使い」という名であることを知ったのは、それより随分と後の話になるが、私はどうしてもそのキャラクターになりたかった。通学路で拾った棒切れを振り回しては、小石が大空を舞ったり、自分の服が綺麗なドレスに変身しているところを想像したりなんかした。いよいよ自分の想像力が尽きてくると、今度はそれを現実にしようと、足元にテレビのリモコンを置いて、自分が杖を振るのと同時に足の指でスイッチを入れてみたりした。これが予想以上に自分の心をくすぐり、大変興奮した。ただそれも長年続けていると、自分の足先が気になってカラクリが露になり、興が覚めてしまった。だから、私は考えた。何も知らない弟に杖を振らせてみよう。スイッチを押すのは私だ。すると弟はどう感じるだろう―――――。

 

 その日から弟は「魔法使い」になった。


 私の企みに気づいたのはいつの日だったか、その日まで彼は自分が魔法使いになったと妄信して、日々を送り続けた。彼は家に帰ると荷物を放り出してリビングの前で杖を振り続けた。私は彼が帰ってくるのを見計らってソファの脇でリモコンのスイッチを押し続けた。


 いつしか魔法使いになりたいという私の夢は、この目で本物の魔法使いを見てみたいという夢に変わっていた。


 だから、私はこの夢を実現させる。


 それが今回の企画、『マジカル・ジャーニー』だ。

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