また、稲葉の杜で。

作者 みちこ

6

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★★★ Excellent!!!

大人びて、聞き分けのよい優等生だと思われている。
自分でもそうだと思っていた。その役を演じてきた。
そんな中学3年生の少女、千尋が先生に任されたのは、
学年1のやんちゃ坊主、柔道少年の晴太のお世話係。

晴太は高校への推薦入学が既に内定しているものの、
あまりに成績が悪く、集中力もなく、皆が手を焼く。
けれど、黒龍守を分け合った千尋の前では少し違う。
千尋と、晴太の幼馴染みの康平も──変化していく。

だが、3人の関係はすんなりと収まってはいかない。
康平と千尋はまるで晴太の父母のようだと言われ、
千尋はそのくすぐったい関係に心を救われていくが、
康平の冷たい言葉が千尋を傷付け、晴太を怒らせる。

繊細で柔らかな文体で描かれる登場人物たちの姿は、
みずみずしくて甘酸っぱく、そして切実でほろ苦い。
彼らが口にする方言の字面がまた柔らかく、綺麗だ。
次第に移ろう季節折々の岐阜の様子にも心惹かれる。

完結おめでとうございます。
岐阜、降り立ったことがないのですが、
機会をつくって旅しに行きたいです。