11
イヤホンムーの額に輝く宝石が、一段と輝きを増した。イヤホンムーから発せられる圧力もそれにつれて増大していく。
ミシミシと地面が悲鳴を上げ、炎すらイヤホンムーを避けるように歪んだ。
だが、五人は屈しなかった。
クロスムーのときとは違うのだという確かな自信が五人を支えている。
それぞれが強くなり、そして、五人揃って強くなった。負けるはずがない。
「かかれぇ!」
イヤホンムーが、戦闘員に号令をかけ、戦いの火蓋が切って落とされた。
イヤホンムーに一撃を加えるため、他の四人からやや離れたところに、ブルーは間合いをとった。
その目の前に、影が射した。
ピラコチャの巨体が、ブルーの小さな体の前にまさしく壁となって立ちはだかった。
「よう。ムー・ヘンリーに会いたくはねえか?」
ブルーはたちまちのうちに怒りを爆発させた。
「おまえはあっ!」
ブルーは突進した。
ピラコチャは動くのも面倒と、真上から巨大な手を振り下ろし、ブルーの頭を叩いて強引にそのまま地面にねじ伏せた。
「まず一匹。とどめを刺してやるぜ」
ピラコチャは、うめきながら立ち上がろうとしたブルーの真上に立った。
大斧を振り下ろそうとした瞬間、ピラコチャは、視界の隅にまばゆい白光を認めた。
白光はあっという間に膨れ上がり、ピラコチャを横から吹き飛ばした。
「んだぁ、いってぇ!? 邪魔しやがって!」
「がたがたうるせーぞ、お肉!」
コンビニの建物の陰から、グラムドリングを正眼に構えた博斗が現れた。
「手出ししないつもりだったけどな。お前が出てくりゃ話は別だ」
どっちみち、こいつに勝てないようじゃ、マヌにも勝てないんだからな。
やってみるしかないさ。
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