5
快治は、博斗とひかりを横から静かに見つめていた。
いつの間にか、瀬谷君が酒々井君を励まし、勇気づけている。
一万年前も、おそらくこうだったのだろう。
瀬谷君は、オシリスをさらに上回る人間として成長した。
彼の力はスクールファイブの五人の力をさらに高める触媒としてだけでなく、一人の戦士として通じる域に達しつつあるようだ。
それが、いまの段階でマヌ総帥に通用するかどうかは、やや厳しいというところだろうが。
並の怪人は彼の白刃の敵ではない。
瀬谷君には、もはや私から言うべきことはない。
酒々井君には、自分の考えがなにかしらあるようだ。
やや思いつめすぎているが、しかし私には、それをどうすることも出来ない。ただ、見守るしかない。
スクールファイブの生徒達。
彼女たちは、必ず勝利への道を切り開いてくれる。
瀬谷君の言う通り、彼女たちの人間的成長には目を見張るものがある。
いかなる難敵、窮地にも、断じて屈しないだろう。
いずれ瀬谷君に鍵を託そう。
必要となったときには、いつでも。
だが、そうすると…。
私には、いったい、なにが出来るというのだ?
命を賭して戦う彼らのために、私にいったいなにがあるというのだ?
快治は、いつしか目を閉じていた。葉巻はじりじりと燃え落ちていった。
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