第四十六話「果てしなき復讐」音響怪人イヤホンムー登場

第四十六話「果てしなき復讐」 1

ホルスはメーターを見つめた。

日が経つに連れて確実にエネルギーが増幅されている。


「さて。こいつで、一気にスクールファイブにとどめを刺すとしますか」

「おう。いいかげん総帥も堪忍袋の緒がきれかかってたぜ。この間はもう少しであの街への通路を見つけられるところだったしな」


「あれは、僕もあせりましたよ。ツチノコムーも、おとなしく警らだけしていればいいものを、人間にいらぬ危害など出すからです」


ホルスは、壁から突き出した半透明のカプセルを見上げた。

「さあ、出てきなさい! イヤホンムー!」


カプセルから、人型をした何かが飛び出し、床に膝をついて着地した。

それは立ち上がると、奇妙な風体をホルス達の前に明らかにした。


体は黒光りするイヤホンそのもの。

ちょうど音の出るスピーカーに当たる部分に目鼻がついていて、その眉間には、深い青色をした妖しい宝石がはめ込まれている。

そして、四方に、がっしりとした頑健な手足が突き出している。

「騒音怪人、イヤホンムー!」


イヤホンムーは名乗りをあげるなり、景気づけと言わんばかりに、いきなり騒々しい音を体から発した。


「うおおっ、なんてぇ音だ、こいつは!」

「や、やめなさい、イヤホンムー! その音を聞かせる相手は他にいるはずです!」


「んおおっ! そうだ! 俺の兄者達のかたきを討つ! 敵はスクールファイブ!」


「その通りです。お前の二人の兄、マイクムーとスピカムーを倒したスクールファイブに復讐するのです! お前には神官コアを埋め込んであるのです。しかも、神官中でも最も強い力を誇る、ピラコチャのコアを、です。コアの力はお前の怒りと憎悪によって増幅されます!」


ホルスはイヤホンムーに、この男にしては珍しく激しい口調で檄を飛ばした。

第一の神官怪人クロスムーは、コアの特性を生かしきれないまま破壊の憂き目にあってしまった。


二度の失敗は許されない。

総帥の忍耐も限界に近いことであるし、猶予はなくなりつつあるのだ。

このイヤホンムーもまた万が一失敗するようなことがあれば、最後の神官コアは…。


ピラコチャがホルスの前に進み出て、イヤホンムーを見下ろした。「てめえに失敗は許されねえ。俺達にも失敗は許されねえ」


「もとよりその覚悟! 俺はスクールファイブをぶっ殺す!」


「すべてに破壊を、死を!」

ホルスとピラコチャは声を合わせて雄たけびを上げた。

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