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由布はコンピューター教室の前に立っていた。
ドアの前に立っているだけで、ここが「外れ」だという気がする。
肝心の怪人がいる気配がない。
いったい怪人はどこにいるのだろう?
校内にいることは直感で確信している。気配が次第に色濃くなっている。
だが、いちばん可能性のありそうなコンピューター教室にはいなかった。
由布は、桜が言っていたことを思い出そうとした。
「コンピューターそのものか、じゃなきゃ電話回線の近くとか」
由布は階段を駆け降りた。
そして一階まで降りて、はっとした。
中庭から戦いの音がする。
けれど、いまはこっちが先だと由布は思った。
まず、怪人の居場所を突き止める。
由布は、教員室の前のロビーにある、緑色の公衆電話の前に立った。
間違いない。
由布は素早くあたりの人目を確かめた。
幸い、誰もいない。
由布は腕章に手を当て変身した。
そして手に刀を出し電話機に斬りつけた。
電話機が火花を散らし、みるみる変形し、デンジムーが現れた。
「うおおっ、やったなあ!」
デンジムーは胴体の黒い焦げ跡を手で押さえて立ちあがった。
ブラックは再び斬りつけた。
閃光。
デンジムーはよろめき、壁に背中をつけた。
「き、来てくれい! オレを助けてくれい!」
デンジムーは、ここにはいない誰かに向かって助けを請うように叫んだ。
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