レッドが気合いをこめてリボンを振ると、白百合仮面は力負けして落下した。


「よしっ! スクールフラッグよ!」

レッドが号令をかけ、五人は準備に入る。


白百合仮面はゆっくりと立ち上がった。

驚くべきタフさだと博斗は思った。手をかばっていても、もともとの力自体が減っているわけではないようだ。


「前にも言ったはずだ。私にその技は効かないと」

「あんたにそんなことを言われた覚えはないわ!」

「そう思うのなら、やってみるがいい」


「いくわよ! スクールフラッグ、GO!」

レッドの傍らから、四人が広げた大きな校旗が飛び出すと、瞬く間に白百合仮面を包みこんだ。


「これで、終わりよっ!」

レッドが放り投げた旗竿が、エネルギーを放出させながら白百合仮面を貫き、鮮やかな爆発を起こした。


白百合仮面のものだったと思われる白装束の破片が降ってくる。


「なんだか…シータのときみたいですね」

ブラックがつぶやいた。


その言葉に応えるように、高い笑い声が五人の後ろから響いた。

「ははははっ! あのときも言ったはずだ、私にその技は効かないと!」


「この声は…」

レッドの頭は混乱した。

この声は…白百合仮面のようだが、しかし少し違う。

というよりこれは…。


「シータのときみたい、だと? 当たり前だ! 私の姿を見ろ、スクールファイブっ!」


爆発の後に立っていたのは、真っ黒な装束に、白いドクロの乗ったいでたちの剣士。


「白百合仮面? いや…まさか…でも…」

レッドはうめいた。


黒装束の上に乗っていたドクロにみるみるヒビが入り、真ん中から真っ二つに割れて地面に落ちた。


黒装束の上には、黒い仮面をつけた頭が乗っている。

上から下まですべてが漆黒で、しかし随所が輝きを放つ宝石で彩られていた。


「ウソ! あなたは死んだはずじゃあ…!」


「誰がいつ私が死んだといった? 久しぶりだな、スクールファイブ」


「シータ!」


「確かにお前達は強くなった。だがスクールフラッグは貧弱すぎる。次に会うときまでに、さらに強い技を考えるがいい。その時を楽しみにしている」


それだけ言うと、あっけにとられているスクールファイブを尻目に、シータは姿を消した。

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