14

ピラコチャは突然動いた。


大きく跳びあがると、斧を空中に振り下ろした。


杖を振り上げてその斧を防いだ白百合仮面の姿が空中に現れる。


「よう。白い奴。何者かは知らねえが…邪魔はさせねえ」

ピラコチャは、身を翻した白百合仮面への追跡を開始した。


いっぽう五人へのとどめを刺そうとしていたクロスムーは、ふと何かの音に気付き、天を仰いだ。


煙で黒く濁りつつある空に、一点の粒が現れたかと思うと、ぐんぐんその大きさを増す。

「おのれ、新手ですか!」


「あれは…!」

桜は力を振り絞って、四人に声をかけた。

「早く、アンドロメダに乗るんだ!」


やっていたアンドロメダ号は、地面すれすれまで降下した。


桜が、転がるように中に飛び込んだ。

続けて由布を横に抱えた燕がよじ登り、遥が車体の縁につかまった。


「つかまれっ!」

中から博斗が手を伸ばすと、噴水から、上半身だけ起こした翠が、すがるようにその腕につかまった。

博斗と燕は二人がかりで翠の体を引っ張り上げ、中に放り込んだ。


全員がなだれこむと、博斗は転がって運転席に戻り、ニトロ加速スイッチを押した。

どんな機能が役に立つかわかったもんじゃない。


アンドロメダは急発進し、一気に怪人達から離れて舞い上がる。


クロスムーは、飛び去っていったアンドロメダを見上げ、追おうともしなかった。

「逃げなさい、スクールファイブ。そして、せいぜい絶望しなさい」


クロスムーの眼前に、新たな十字架が生み出される。

「さあ、これであと二つです」

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