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生徒会室に五人が集っていることを確認したひかりは、地下の司令室にやってきた。
神官怪人が陽光市のどこかにいることは間違いない。
そしてなにか企みをもって行動しているらしいということも、確信できる。
ひかりはモニターを映し出した。
陽光市の地図を読みこみ、従来よりもさらに綿密なスキャンを出来るフィルタープログラムをかけ、全面を検索していくと、光点がモニターに現れた。
陽光学園からぐっと南にたどった場所。
静かに天井に空間が開き、理事長がソファに腰かけたまま降りてきた。
「陽光海浜公園だな」
「そのようですね。拡大投影します」
ちょうどそのとき、博斗はドアを開けてやってきた。
虫が知らせたというのだろうか。普段よりも鋭敏になっている博斗の感覚は、実に的確にタイミングをつかんでいた。
博斗はパネルを見上げた。
海浜公園の遊歩道に青い影がちらついていて、散策していたらしい通行人を次々にとらえ倒している。
戦闘員達の青い影の後ろに、ピラコチャがいる。
遊歩道の半分がたは埋めているのではないかと思えるほど馬鹿でかい図体。
そしてその横に、怪人がいた。
古式な十字架をモチーフとした姿をしている。
縁は丁寧に白い文様で縁取られ、表面には巨大な宝石がいくつもはめ込まれぎらぎらと輝いている。
そのなかの一つが、博斗の眼を釘付けにした。
見覚えがある。
セルジナの神殿でひかりが神官の石像の体から取り出したものであり、いまも桜がその技術を生かそうと苦戦しているものであり、使うものの属性に依拠せずに感情にのみ応じて無限の力をもたらす宝石。
神官のコアだ。
博斗はぎゅっと拳を握り締めると、決意を秘めた瞳でひかりを見、そして理事長を見た。
「瀬谷君。スクールファイブを出動させるんだ」
「勝てますか?」
ひかりが誰に言うとでもなく口にした。
あるいは自分に言い聞かせたのかもしれない。
「勝てるかどうか、じゃない。勝たなきゃならないんだ!」
博斗は厳しく言い、マイクをつかんだ。
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