13
「望…」
博斗は、もごもごつぶやいた。
「私には、博斗がどんなことに首を突っ込んでるのかなんて、よくわからないけど、遥が生き生きしてるのなら、それに託してみようかなって思う。でも、博斗、やっぱり危ない目に会ってるのね?」
「あ、ああ。あの子達はまだいいほうだけどね。強化服で守られるから」
「博斗、気をつけなさいよ。あなた、自分で思ってる以上にたくさんの人に好かれてるんだから。あなたにもしものことがあると、悲しむ人がたくさんいるんだから」
「…」
お前もそうなんだなと、博斗は心のなかで言い、それを口にする代わりに望の手を優しく握った。
「望さん!」
戦いを終えた遥が、望の胸に飛び込み、姉妹はしっかりと抱き合った。
「ねえ、望さん? あたし、あたしだよね」
「?」
「あたしは、誰かへの憧れを追っかけてるわけじゃなくて、あたしそのものだよねって」
「そうね。もちろん。遥は、一人の遥よ」
「よかった!」
遥は快活に笑った。
「そういえば、望さんと博斗先生って知り合いだったの?」
「え? え、えーと…まあ、そ、そんなところかしら…」
たちまち望はしどろもどろになった。
「むー? なんか怪しいわね。その顔は、ただの知り合いって顔じゃないわ。博斗先生に聞いてみる…って、あ、あれっ? 博斗先生がいない?」
博斗は、いらんことを聞かれる前にさっさと逃げようとしているところだった。
「あーーっ! 逃げるな! ますます怪しい! 絶対真相を突き止めてやるんだから!」
遥は脱兎のごとく逃げる博斗を追って、階段を下りていった。
「あらあら。まだまだ子どもね」
望は笑った。
「あと、遥に足りないのは、失恋かな。失恋すると女は強くなるわよ。ね、博斗?」
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