12
「な、なんかよくわからんけど、怪人は死んだみたいだな。あ、あれれ?」
気がつくと、いつの間にか、壊れたはずの校舎が元に戻っている。
「ま、いっか」
だが、そんな博斗の前に、新たな影が現れた。
「ふっふっふっ。見事だ瀬谷博斗。次は私が相手だ」
「げ! シータ! 死んだんじゃなかったのか?」
「お前に正体も明かさずに死ねはしない。さあ、お前の知りたがっていたことだ。私の正体を見るがいい」
シータはカチャリと仮面を外した。そこにあったのは遥の顔だった。
「おっと、間違えた」
と言うと、シータは顔に手をかけ、ぺりぺりと顔の皮をはがした。
今度は翠の顔が出てきた。
「これも違う」
シータはぶつぶつ言いながらどんどん顔をはがしていった。
由布、燕、桜、稲穂、ひかりと、博斗のよく知った顔が次々と現れ、シータの捨てた顔の殻が積もっていった。
「この次が本当だ」
「はいはい。もう期待しないで待ってるよ」
博斗はあきれていた。
シータの顔が理事長のものになった。
「どうだ瀬谷博斗! 大切な仲間を討つことがお前に出来るか? はっはっはっ」
高笑いするシータに、博斗はぶんぶんとグラムドリングを振り回して容赦なく斬りかかった。
「このやろ、このやろ、このやろ、いっつもさんざんこき使いやがって! 中間管理職の恨みを思い知れ!」
「け、計算が狂った! 話が違う! ちょっと待ってくれ!」
「知るか! 博斗、クラーシュッ!」
勢いよく必殺剣を繰り出そうとすると、床の継ぎ目に足が引っかかって、無様にも博斗はよろめいた。
そして、ふらふらとバランスを崩したまま、理事長の顔をしたシータに倒れこんでいく。
「よ、寄るな!」
シータが理事長の口で叫んだ。
「俺だって寄りたくないっ!」
しかし自然の法則とは偉大なもので、博斗の顔はまっしぐらに理事長の顔に近づいていった。
「おがぁあぁあぁあぁあ!」
理事長の唇と博斗の唇は、まるで強力な磁石のように引き寄せられ…。
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