13

スポットライトを照らしたように、白い輝きが、ぽっと、頭上で輝いた。


新参者がいるらしいと気付いた怪人は、辺りに呼ばわった。

「なにものだぁ!」


博斗は、手近にあった大きな木の葉で顔を隠しながら、木の陰から進み出た。

「ひと~つ、処女の生き血をすすり」


博斗は、グラムドリングを握り締めた。白い刀身が静かに吹き出す。

「ふたーつ、ふらちな学業三昧」

そして、博斗は、グラムドリングの刀身を消した。驚くほど自在に操ることが出来る。

「みっつ、見にくい黒板の文字」


博斗は、木の葉を放り投げ、再び刃を吹き出したグラムドリングで、空中の木の葉をみじん切りにした。

「陽光学園貧乏教師、瀬谷博斗様だ!」


「キャップ~。肩書きが全然偉そうじゃないですよ」

ひかりが情けない顔をした。


「わ、わかってますって…。ちょっと、ちょっと遊んでみたかったんですぅ」

博斗は、きっと表情を引き締めた。そして、鋭く言った。

「王子とあやめさんは俺達には関係ない! 手を出すな!」


「ほざけ! お前達もスクールファイブの仲間か! 誰だろうと、邪魔をする奴は容赦しない!」

怪人は、ぶわっと羽を広げた。

「原色怪人、バタフラムー!」


ざぁっと、押し寄せる波のように、戦闘員がやってきた。

「お、おわわっ! そんなにいっぺんに来るな!」


博斗は慌てて後ろに下がった。

代わりにひかりが進み出ると、手で払うような仕種をした。

すると、戦闘員達は一様に見えない壁に突き当たり、ひっくり返った。


「キャップ! 防御は私に任せてください。キャップは、とにかくその武器で戦って、早く慣れてください!」

「わかった。後先考えない人間の力のすごさを、思い知らせてやる」


博斗は倒れた戦闘員達を通り越し、怪人に突っ込んだ。

思うままに刀身が輝き、鮮やかに弧を描く。


「貫け!」

博斗は、気合一閃、グラムドリングを前に突き通した。

白い刀身はまっすぐにバタフラムーの胴体を貫き、柄まで突き刺さった。


博斗は剣を抜き、大慌てで怪人から走り去った。

怪人が、断末魔の叫びを上げながら、爆発し、鱗粉を撒き散らして消滅した。

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