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「スクールファイブ! 性懲りもなくまた現れたな! 望み通り、今度は丸ごと全部、ムーエネルギーをいただいてやる!」


五人はミナトストアの屋上から、横一線に並んで飛び降りた。

着地と同時に五人は戦闘員との戦いを開始する。


ブラックは、見覚えのある、勇敢な小学生達の前に立った。

「早く逃げなさい」


「ブラック、あぶなーい、ですわっ!」

スパコーンと小気味のいい音がして、ブラックの後ろに忍び寄ろうとした戦闘員の頭がボールに弾かれた。


イエローはブラックと並んで子ども達の前に立った。

「あら、あなた達、確か…」

言いかけたイエローの口をブラックがふさぎ、反対に振り向かせた。

「正体がばれてしまいます!」

「ああ、そうですわね」


ブラックは男の子のほうにもう一度声をかけた。

「早く、逃げなさい!」

「…う、うん。わかった。行こう、あずさ様!」


玉次郎は、あずさの手を引っ張ると、無理矢理そのまま走り始めた。

「ち、ちょっと、玉次郎~~~~っ!」

あずさは、半泣きで玉次郎に引きずられていった。


「ぐっへっへぇあ。さあ、スクールファイブ! どこからでもかかってこい! お前達の攻撃のエネルギー、またそっくり頂いてやる!」

ゴミムーは、懐のポリバケツを構え、進み出た。


「くっ!」

五人はたじろいだ。

「きっと、なにか打つ手があるはずだわ!」


「とにかく、色々やってみるしかないですわね」

イエローはうなずくと、ジャンプして二回宙返りをしながらラケットを振り下ろす。

「ガットアターック、ですわっ!」


「分別~、収集~っ!」

ゴミムーはよけようともせずにポリバケツを突き出す。

すると、黄色い輝きに包まれていたイエローのラケットから、輝きが失せ、光の帯がにゅっとポリバケツへと吸い込まれていった。


「な、な!」

イエローは着地したが、ややふらついてバランスを崩した。

「これでは力が、どんどん奪われていきますわっ」


「それなら肉弾戦だ! ブルーっ!」

グリーンが声をかけると、ブルーが飛び出した。


だが、ブルーの正面にぬっとピラコチャが立ちはだかった。

「パワーなら負けねえぜ。…うらぁっ!」


ピラコチャは正拳を繰り出した。ブルーは両手で正面からその拳を受け止める。

「う、うううぅぅぅぅ!」

ブルーは歯を食いしばってピラコチャとの力比べに入った。


「こうなりゃ絨毯爆撃! てやっ!」

グリーンは、スパパパパとペン先を飛ばしたが、どれもこれも、やはり緑色の輝きを失い、ポリバケツに吸い取られ、失速してゴミムーに届く前にパラパラと地面に落ちた。


「まずい、まずいわ!」

レッドは唸った。しかし、他にどうする方法もない以上、がむしゃらにやるしかない。


「レッドリボン!」

レッドはリボンを繰り出した。これも、赤い輝きを失い、ただの新体操のリボンになってしまった。これではなんの武器にもならない。

スクールウェーブのときほどではないが、着実に、スクールファイブのエネルギーが奪い取られている。

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