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博斗は悲鳴も上げられなかった。
胃が持ち上がるような感覚がしたかと思うと、そのまままっしぐらに地面へ…。
不意に博斗の落下は止まった。
「おはようございますっ! お怪我はないですかっ?」
レッドは博斗を抱えたまま、すとんと地面に着地し、博斗は地面に降ろされた。
「????? …ああ?」
博斗は間抜けな返事をした。
レッドの横に四人が立ち、時計塔を見上げる。
「おのれ現れたな、スクールファイブ! やれ、イナズマムー!」
ピラコチャの指示に従い、イナズマムーが上空から一気に舞い下りてきた。かと思うと、両手から稲光を放った。
送り出された光の矢が、五人の頭上に輝く。
「ブラック! 刀を、どこか離れたところに突き立てるんだ、急いで!」
グリーンが叫んだ。
ブラックは無言で刀を抜いた。いつもよりぐんと刀身が長い。二メートル近いのではないか。
「『物干し竿』をイメージしてみました」
「だぁーっ、そんな講釈はいいから、早く!」
ブラックは、五人とはやや離れた地面に、「物干し竿」をしゅっと鋭く投げて突き刺した。
イナズマムーの繰り出した光線は、急激に向きを変え、物干し竿にすべて吸い込まれていった。
グリーンがレッドに声をかけた。
「チャンスだよ。決めよう」
「合点承知! いくわよ、みんな!」
四人の手からフラッグが離れ、イナズマムーにべったりと貼りついた。
「むぉぉぉっ?」
レッドは旗竿を肩口に抱え、天まで届けとばかりに送り出し、イナズマムーは断末魔の絶叫をあげると、青白い爆発となって散った。
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