6
授業が終わると、桜がどうこうしようとするより早く、博斗が桜をつかまえた。
「あー。さっきのはごめんってば」
桜は苦笑いした。
「いや、それはいいんだけどさ、それより桜君、ちょっと疲れてないか?」
「え?」
「いや、ちょっと頬がこけてるような気がするし、髪もぼさぼさだし…。眼鏡とってみな。クマがあるんじゃないか?」
「め、眼鏡はいいよ。僕は眼鏡をとると変身が解除されるから」
「嘘つけ」
「いや、うん。嘘だけどさ。眼鏡は、取るのヤなんだよ」
「ま、ちょっと心配だったからさ」
「…うん。確かにちょっと疲れてる。クラブ企画で、けっこう追いこまれてたから」
桜はうなずいた。
「そっか」
博斗は、にこりと笑った。
「ま、ほどほどにな。趣味もなにも大事だけど、体が資本だぞ」
「うん、わかってる」
「特に、桜君は女の子なんだからな。可愛くしてたほうが俺はうれしい。じゃあ、放課後な」
言い残し、博斗はすたすたと去っていった。
「あ…」
桜は、目を伏せた。
…はあ。
やっぱり、そうだよね。可愛いほうが、いいよね。
そりゃ、そうだよね。
桜は、小さくため息をついた。
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