第二十話「四限へのパスポート」 時計怪人タイムー登場

第二十話「四限へのパスポート」 1

「博斗さん、博斗さん…」


はっとした博斗は、ベッドから飛び起きた。

「ひかりさん! 怪人は…?」


「もう、すべて片づきましたよ。翠さんが、怪人を倒しました」

「翠君が…。そうか。やってくれたか」


「すみません。博斗さん。今回は私も油断していました。ピラコチャが、まさかこんな大胆な攻撃をしてくるとは…」

「いや、それを言ったら俺だって、たまたま学校にいなかったから難を逃れただけで…」


「翠さん、ほんとうに、よく戻ってきてくれましたね」

「ああ。戻ってきてくれた。彼女は彼女なりに、いろんな悩みを持ってるんだな」

「あら、悩みのない人間などいますか?」


「う~ん」

博斗はやや考えた。

「…燕君には、悩みがなさそうな気がするけどなあ」

「そうでしょうか。あの子も、きっと心に何かを秘めていると思いますよ。そうでなければ、いざというときにあれほど力を出せますか?」

「それは、そうですけどねえ…」


そういえば、今日の三限は燕のクラスだ。そう思い当たった博斗は、ふと聞いた。

「あ、ところで、いま何時ですか?」

「もう二時間目が始まっていますけど、授業はよろしいんですか、博斗さん?」

「え…?」

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