第十一話「来たのは誰れだ」 複写怪人コピームー登場

第十一話「来たのは誰れだ」 1

一学期の終業式の朝であった。


博斗は、もぞもぞとベッドで身を起こし、寝ぼけ眼をこすりながら体を起こした。


終業式だからだろうか、随分と早く起きてしまったものだ。

素っ気ない朝食をすませ、時計を見た。今日は、のんびりと行っても間に合う余裕がある。


博斗は、欠伸をしながら靴をつっかけ、玄関を出た。

七月の陽射しは朝からまぶしい。小鳥達のさえずりと、車のエンジン音が、いつもとかわらない平和な朝の到来を告げている。


博斗の目の前に、さあっと白い光が広がった。

博斗はそのあまりのまばゆさに、腕で眼を隠した。


光は博斗を包み来むかのようにひろがり、その光の広がりにつれて、博斗は次第に意識が薄れていくように感じた。

いったい、なんだこれは?


ああ、あれだ、UFO体験をした人は、みんなこんなことを言ってるな。突然、目の前が真っ白になった、って。

すると、俺は、宇宙人にさらわれるんだろうか?

なるほど、確かに、俺はなかなか珍しいタイプの人間かも知れないが…。


なんて呑気なことを言っている場合じゃない! いったいどうなるっていうんだ?

なんだか、なにもかもが真っ白に…。


そして目が覚めたとき、博斗は、何事もなかったかのように、自分が人込みの中を歩いていることに気付いた。


いや待て、何かおかしい。

博斗は、辺りを見回そうとして、体が言うことを聞かないという事実に気付いた。


博斗は歩こうなどという意志を示していないというのに、体は黙々と歩いている。博斗が振り返ろうとしても、博斗の体は振り返ろうとしない。


周囲の様子から、いま、博斗は、陽光中央のホームから改札に向かう階段を降りているところだと分かった。


「せんせっ!」

博斗を呼ぶ元気のいい声がした。この声は…。

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