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グリーンの実況がグラウンドに響く。今度は競馬調だ。

「さあ、先頭をきって飛び出した、ホルス、ホルス。そのパンドラキーに対する情熱は強い。続くスクールファイブ、スクールブルーが先頭、運動神経抜群、その他の各人は横一線、横一線。ブルーが後ろから差し込む、ホルス、かわされた。先頭はブルー。後ろから来る、ブルマムー、ブルマムー強い、強い、スクールファイブをどんどん突き飛ばしてやってくる。ブルマムー、ホルスもかわした。ブルーとブルマムー、先頭争い!」


転がったイエローは、体についた汚れをぽんぽんと払った。

「あの怪人、な、なんて馬鹿力ですの! 見事に吹っ飛ばされましたわ」

「ま、いいじゃない、用は、あいつらが走り出してくれればそれでよかったわけだから」

「まあ、そうですけれども」

「しばらく、グリーンの実況でも聞いてましょ。もう、バリバリね、グリーン」


これまたコースからはじき出されてきたブラックが、レッドとイエローに合流した。

「グリーンは、ああいうことが好きそうですからね。あとは、うまくやってくれるでしょうか、ブルーが」


「大丈夫よ。あたし、ブルーに、『とにかく百メートル全力で突っ走るだけよ』って言ったから」

「ブルーがあのパンドラキーを取ったら、たいへんですわね」

「あたし達、逃げなきゃね」

レッドは笑った。


「ブルマムー、スクールブルー、先頭争い。ホルス、ピラコチャ、シータは遅れている。ブルマムー、スクールブルー、ブルマ、ブルー、ブルマブルマ、ブルブルブルマー!」


ゴールである直線コースの終わりは目前に迫り、ややブルーが先に出て、そのまま一気に駆け抜けた。

駆け抜けたブルーは、そのまま走って走って、どこかに行ってしまった。


ゴールにはケースに入ったパンドラキーが、もちろんそのまま野ざらしにされている。

「は、はははははっ! 素晴らしい! スクールファイブも、最後の最後でたいへんなミスをしたな!こうもあっけなくパンドラキーが手に入るなんて! ブルマムー! パンドラキーを奪え!」


スクールブルーに続いてわずかな差でゴールに飛び込んだブルマムーは、その言葉を聞き、ぼんとジャンプしてパンドラキーのケースに飛び乗った。

「ブルマムー、必殺、窒息昇天プレス!」


圧力に耐えかね、ケースはもろくも崩れ去った。


ブルマムーは、その破片の中から小さなカードを拾い出す。

駆けつけたホルスとピラコチャが歩み寄った。


「よーし、よくやった、ブルマムー。パンドラキーには傷一つ与えずにケースだけを破壊するとは…いい仕事だぜ」


パンドラキーを持ったブルマムーと、ピラコチャ、ホルスが一か所に接近していることを確認して、グリーンは、手に持った小さなスイッチを押した。

「ポチっとな」


ブルマムーの手にあったパンドラキーが、太陽のような明るさに輝いたかと思うと、爆発が起こった。


「!」


爆発がやむと、三つの影がゆらゆらと立ち尽くしていた。


「あ、危ないところでした…とっさにシールドをはらなければ、即死でしたね」

ホルスは、傷ついた半身をかばいながら、よろよろと二、三歩歩き、膝をついた。


「…うぉぉぉ、おおお」

ピラコチャは全身を真っ赤に染め、歯をむき出し、荒い息をついていた。

むき出しの体に、パンドラキー爆弾の破片や、透明ケースの破片が突き刺さっている。


そして、爆発の中心にいたブルマムーは、力尽き地面に倒れ、今度は自ら爆発して敗れ去った。

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