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「なんとも面倒なことになってきましたねえ」
ホルスは呟いた。
「そのようですわね」
「?」
ホルスは辺りを見回したが誰もいない。
いるはずがない。
ホルスはいま、電光掲示板のてっぺんに立っているのだから。
「ここですわ、ここ。下賎のもの」
ホルスのすぐ横に、巨大なライトが落下して、粉々に砕け散った。
ホルスは顔を上げた。
「うぉーっほっほっほっほほほほほほほ。世界の頂点に立つのはわたくし、スクールイエローですわ。あなたがたに、その邪魔はさせなくてよ」
イエローは、掲示板のさらに上、ナイター照明のてっぺんに足を組んで腰かけていた。
「やれやれ。僕の相手はどうもおかしな奴のようですね」
ホルスは懐から銃のような武器を取り出すと、素早くイエローに照準を合わせた。
「お待ちになったほうがよろしいのではないですこと? わたくしを倒すことは、あなたの利益にならなくってよ。わたくしたちの味方になれば、いくらでも研究資金、出して差し上げますのに。なんでしたら、パンドラキーを使わせてあげても、よろしいのですけれど…」
ホルスの手がぴたりと止まった。
「ま、待ってください! そ、それは本当ですか?」
「そうですわねー、あなたがほんとうにわたくしたちの味方になってくださるというのであれば…」
「そちらこそ証拠を見せてください。貴方に、僕を支えるだけの財力があることを。パンドラキーを」
「証拠ね、お見せいたしますですわ。ほ~ら」
イエローは立ち上がると、手にラケットを持ち、硬球を繰り出す。
風切り音とともに硬球は勢いよくホルスに当たり、掲示板から遠くへと弾き飛ばした。
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