9
グラウンドに降りた博斗は、燕を捜した。
審判をしていた燕が、物陰に隠れながら博斗のもとにやってきた。
「つばめ、おこった。あいつら、だいっきらいっ!」
「俺も嫌いだ。ひとまず、本部に戻って変身するしよう」
博斗は燕とともに、本部の様子を見た。
本部にいた遥達は、すでにシータと戦闘員に囲まれている。
「戦闘員なら、なんとか突破できるだろうな。いくぞ、燕君」
「うんっ」
燕と博斗は、一気に駆け出した。
燕は博斗をぐんぐん突き放し、飛びついてきた戦闘員を次々と跳ね飛ばして、本部に突っ込んだ。
やや遅れて、燕の切り開いた活路をたどってやってきた博斗の周囲に、五人が集まった。
シータがゆっくりと、博斗に向き直った。
「どうするつもりだね?」
博斗は、いざ変身指令を出そうとしたが、ひかりの鋭い制止の声に遮られた。
「駄目です、博斗先生!」
ひかりは観客席に目配せした。
「む…。そうか」
いま変身するということは、スクールファイブの正体を、生徒たちすべてと、ムーの幹部連中にも明かしてしまうことになる。
博斗は拳をぎゅっと握り締め、唇を噛んだ。
変身指令は、下せない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます