グラウンドに降りた博斗は、燕を捜した。

審判をしていた燕が、物陰に隠れながら博斗のもとにやってきた。


「つばめ、おこった。あいつら、だいっきらいっ!」

「俺も嫌いだ。ひとまず、本部に戻って変身するしよう」


博斗は燕とともに、本部の様子を見た。

本部にいた遥達は、すでにシータと戦闘員に囲まれている。


「戦闘員なら、なんとか突破できるだろうな。いくぞ、燕君」

「うんっ」


燕と博斗は、一気に駆け出した。


燕は博斗をぐんぐん突き放し、飛びついてきた戦闘員を次々と跳ね飛ばして、本部に突っ込んだ。

やや遅れて、燕の切り開いた活路をたどってやってきた博斗の周囲に、五人が集まった。


シータがゆっくりと、博斗に向き直った。

「どうするつもりだね?」


博斗は、いざ変身指令を出そうとしたが、ひかりの鋭い制止の声に遮られた。

「駄目です、博斗先生!」


ひかりは観客席に目配せした。


「む…。そうか」

いま変身するということは、スクールファイブの正体を、生徒たちすべてと、ムーの幹部連中にも明かしてしまうことになる。


博斗は拳をぎゅっと握り締め、唇を噛んだ。

変身指令は、下せない。

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