12

変身を解いた一同が生徒会室に戻ると、先客がいた。

「あれ、稲穂じゃない?」


「みなさん、どちらにいらしてたんですか?」

「え、えーと、いつごろからここにいたの?」

遥はとっさに答えられず、質問に質問で返した。


「十分ぐらい前からです。ぜんぜんみなさんいらっしゃらなくて」

「博斗せんせに呼ばれてたんだよ」

「ああ、そうでしたか」


「ごめんね、待たせちゃって、稲穂。…なにか、用?」

「あ、はい。…あの、陽光アワーズに使う生徒会の写真、撮らせてください」

「はいはい。でも、惜しかったわね、あとちょっと早かったら、スクールファイブが戦ってるところに会えたかもしれないのに」


「え、ええっ! …また、今度、チャンスありますよね? だって、学園を守るヒーローのこと、ぜひ陽光アワーズに載せたいです!」

「う、うん、またチャンスがあるわよ」

遥はなんとなく、にやりとしてしまった。


「ねえ、そんなことより、わたくし達を撮るのでしょう?」

と翠が遥を押しのけた。

「あ、はい、そうでした!」


「しっかり、わたくしメインでお願いしますわよ」

「…そんなことしたら、カメラが腐るわ」

「何か言いまして? 遥さん?」

「いえいえ。あ、ははは。ささ、撮りましょ撮りましょ」


こうして、生徒会の五人と稲穂は、親しく打ち解け合っていったのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る