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「な、なんですの、こいつ、強いですわよ!」
「ぐわっはっはっはっ、当たり前だ!」
ピラコチャが高らかに笑った。
「ケムシムーは、あくまでパンドラキーを探すためにつくられた合成怪人だった。だがキバンムーは違う! こいつはおまえ達スクールファイブを倒すためだけに作られた合成怪人だ!」
「そ、それは光栄いたみいりますですわ」
「ちょっと、お礼なんかしてる場合じゃないでしょ? どうするのよ!」
「相手はたかだが基盤一枚。負けるわけありませんことよ」
「…それで、具体的には、なにか考えがあるの?」
「わたくしが考えているわけありませんじゃないですか」
「…そういうと思ったわ」
「どうすればいいと思う? ひかりさん?」
「怪人がもしコンピューターの基盤を忠実に再現しているのならば、かえって色々と戦う方法があるかもしれませんよ」
「ん? そうか?」
博斗はモニター越しに、キバンムーの体を凝視した。なるほど、みればみるほどマザーボードそっくりに出来ている。
「ようし、じゃあ、試しに、いっちょやってみるか」
博斗はマイク越しに燕=ブルーを呼んだ。ブルーの戦闘をじっくり見るのは今回が初めてだ。
「ブルー、怪人の胸にファンが見えるだろ?」
「ファン?」
「せ…ん…ぷ…う…きのことだ」
「あ、うん、あるよー」
「あれを、取っちゃってくれ!」
「はーいっ!」
ブルーは喜び勇んでキバンムーに飛びかかると、あっけなくファンをめきめきとはがし、放り投げてしまった。
「よし、いいぞ、その調子だ!」
ファンをはがされたキバンムーは見るからに慌て出した。
「おおおおっ! いかんっ、お、俺様の冷却装置が故障したぁぁっ!」
ピラコチャが、うろたえるキバンムーを蹴飛ばした。
「びくびくするんじゃねぇ! 熱暴走する前にスクールファイブを倒しちまえばいいんだろうが!」
「おお、そのとおりだぜピラコチャ! ようし、さっさと片づけてやる!」
キバンムーが技の構えに入る。
だがそれより速く博斗は、再びマイクに叫んだ。
「ブラック! キバンムーの胸にある小さなスイッチを破壊するんだ!」
ブラックはこくりと肯くと、懐に日本刀を出現させ、目にも止まらぬ速さでキバンムーに斬りつけた。
刀が触れた瞬間、スイッチが火花を散らしてショートし、爆発した。
「い、いかん、オーバークロックするぅ! ぐわわわわわ、どんどん温度が上がっていくぅぅっ!」
キバンムーは絶叫した。見る見るうちにその体中から焦げ臭い煙が吹き上がる。
死期を悟ったキバンムーはうめき声をあげ、よろよろと後ずさりする。
五人はV字を組み、とどめの必殺光線を放った。
「スクール、ウエーブ!」
「ぎぇぇぇぇぇっ! やっぱりペルチェにしとくんだったぁぁぁぁぁっ!」
意味不明の絶叫を残し、キバンムーは爆発した。
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