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次の日の放課後、博斗は司令室でひかりと会っていた。
「IQ600?」
博斗は、桜の知能指数を聞いて度肝を抜かれた。
「ええ。小学校を卒業するときに、世界中の十六の大学と五つの研究機関から引き抜きがあったんですけど、すべて断って公立の中学に進んだそうです」
「んで、うちの理事長に拾われた、と?」
「そういうことらしいですよ」
「なんでまた、そんな明るい未来を蹴ったんだろうねぇ?」
「あの子が言うには、『僕はジャパニメーションから離れたくない』んだそうですよ」
「天才の考えることは分からんなあ」
「でもそのおかげで、天職といえるスクールファイブになることが出来たんじゃありませんか?」
「…そっか、桜君に腕章をいじらせるってのはそういう意味もあるのか」
「腕章だけではありませんよ。司令室の点検もありますし、彼女たちが常に五人揃ってスクールファイブになれるとも限りませんから、生身で怪人と戦えるような武器も開発してもらうつもりですし…」
「うへぇ。それでただ働きかい? 労働基準監督署が黙っちゃいないって」
「その点も、ぬかりありません。理事長がすでに手を回しています」
「…というと?」
「豪徳寺グループの豪徳寺会長から、娘のためということで寄付金を受け取っているんです」
「豪徳寺? ああ、翠君の?」
「そのお金で、これから司令室の強化や、彼女たちの世話を色々としてあげるつもりだというわけです」
「なるほどね。するとあれか、成績なんかももうフリーパスで、進級できたりもするんだろう?」
「いいえ」
「へ?」
「理事長は、『授業は授業、戦いは戦い』と言っていました」
「な、なにーーーっ! あのくそオヤジ! そりゃ無理ってもんだろう?」
「はあ。『それをなんとかするのが瀬谷君だ』と言われました」
「彼女たちの去年の成績は?」
「いちばんは、やはり桜ですね。学年でもトップです」
「…他は?」
「あら、由布が学年七位です。頭がいいんですね」
「…それから?」
「遥は学年中位。翠も同じぐらいですね…」
そこまで言って、ひかりは貝のように黙ってしまった。
「…どうした、ひかりさん? 燕は?」
「…学年で下から三番目。再試験でかろうじて進級です。彼女の下にいた二人は留年…どうしました? 博斗さん?」
「…こっちが頭が痛くなって来た」
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