第48話 貧乏主義でお買い物

「次は私の番。この理論を使ってもっと使いやすい試作品を作る」

 と杏さんが言うので。


 1年3人は今日はお開き。

 準備室に行くのにも時間が中途半端。

 なのでそのまま外に出る。


「夕食のお買い物」

 と理彩さんが主張したからだ。


 つまり僕が2人と合同で夕食を作って食べる事はもう決定済みだと。

 まあ悪くはないんだけれどさ。

 理彩さんも未来さんも可愛いし、食費も減るし。


 ちょっと気恥ずかしいのと。

 女の子の部屋に入り浸っていいのかな。

 そんな気持ちがあるだけで。


「だいたい何処に買いに行くんだ」

「業務用スーパー。安い」

 なるほど。


「そして今日は正樹の料理当番だからな。材料を慎重に選んだ方がいいぞ」

 何ですと。


「いきなり僕の当番ですか」

「買い出し後で材料が揃っている日の方が難易度が低いぞ」

「了解」

 そういう事もあるのか。


 なら僕が思い浮かぶメニューと言えば……

 基本はカレーかな。

 あとは冷凍ハンバーグを焼くだけとかそんな感じ。


「ちなみに1食あたりの予算は」

「今までは600円だった。1人300円。でも御飯代が約80円かかるから実質500円程度。出来れば3人でもこの線、厳守したい」


 一食500円か。

 カレーだとルーだけで150円消えるしな。

 麻婆茄子を麻婆豆腐の素無しで作った理由もよくわかる。


 さて。

 スーパーに着いた。

 未来さんはおもむろにカートを用意する。

 それに理彩さんがカゴを上下2つ積んで。

 端の野菜売り場から順に回り始める。


「何かメニューを決めてから買うものを決めるんじゃ無いのか」

「逆。安くて量があるものを買う。メニューは冷蔵庫にある在庫で考える」


 難易度が一気にアップした。

 そして理彩さん中心にピックアップした物をカゴにどんどん入れていく。


  ○ 特売のキャベツ。

  ○ 同じく特売のジャガイモ。

  ○ 見切り品の白菜。

  ○ 輸入物のむきタマネギ。

  ○ 冷凍の菜の花。

  ○ 豆腐6丁。

  ○ 鶏手羽2キロ入り。

  ○ 特売豚バラ薄切り輸入品

  ○ 豚挽肉冷凍。

 こっちが選ぶ余裕も無い。


 更に、

  ○ 味醂風調味料

  ○ 蕎麦つゆ

  ○ チューブ入り生姜

 僕が考える間も無くきっちり入れていく。


 せめてもの抵抗で僕が入れたのは

  ○ 安いキムチ400グラム

  ○ 安いシュウマイⅠ箱78円

  ○ モヤシ19円


「辛いのは大丈夫?」

「辛すぎなければ」

「私は問題無い」

 だそうだから。


 なお、

  ○ 比較的安い揚げ豆腐

については、

「豆腐で代用」

 との事で外されてしまった。


 だが、まあいい。

 これで僕が何とか作れる料理を出せる。

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