微睡

おお、このうつぼつたる激情は

虚無とみまごう生命を じゆするほどの悲哀ではなく

あんたんとした人生を  ほうふつとする絶望でもない

憂鬱きわまる運命に そうしてゆく幽愁でもなく

しようけつきわめる病魔とやらに えんをさけぶ憎悪でもない

ぼうばくきわまる宇宙さえ 破滅すればよいという

たいはいてきなる狂気でもなく

りようえんきわまる永遠も 消滅すればよいという

えんせいてきなる虚無感でもない

おお、なぜしゆうえんするべきものを

誕生なんぞさせたのかという

神聖きわまる神仏を ぼうとくさえする憤怒でもなく


ああ、びようじよくにて沈黙しながら

明日の払暁時にさえ 死すかもしれぬあなたへの

『愛』とよばれるさよならなのだ


またあしたとさえいえないときの

『愛』とよばれるさよならなのだ

いのちがまどろみはじめたときの

『愛』とよばれるおやすみなのだ

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