第158話 出会いはいつも唐突に。
「これ本当に困ってるの?」
「まぁそう見えるわよね。」
「じ、じ、実際硬くて決定打が…。」
「そう言えば彼がって言ってたね。でもなぁ〜。」
困ってるか聞いてきた少年は坂俣さん達と話しているようだ。つい助けて欲しいと言ったけど、俺より年下だろう少年になぜ助けを求めたんだろう?
「ふむふむ。彼は優しい子みたいだね。」
「え?優しいって翔が?」
「彼の戦いは仲間を常に目を向けて、攻撃を受けないようにフォローとか動いてるからさ。」
「あぁ〜そうね。長くは一緒に居ないけど、そこは思うわね。」
「きっとそこが決定打に欠けるところでもあるんだけど。」
「それって?」
「そこは彼に…翔君に話してくるよ。」
「え?あの戦闘の中に入れ…」
―ッシュ、ドン!
「およ?」
「む?」
「君はさっきの。」
「やぁ、困ってたみたいだから手助けにきたよ。」
ドンと言う音がしたと思ったら、カブトムシの魔物が吹き飛んでいた。
距離は結構離れたが、そのまま森に帰る気は無いようだ。翅が無く飛べないから、地面を歩いてこちらに向かって来る。
「…黒い虫が走って来るとさ、ゴキ…「ヒィィィィ!!??」…後ろの方から反応が。」
「あれは見ていてもぞわぞわするね。いっそ焼いちゃう?」
「それが出来ればいいのだがな。」
「出来ないの?」
「出来るのですか?」
「何か火種があれば。」
なんかとんでもない事を言ってる気がする。この世界で魔法と言われるものがあったのか!?ちょっとテンション上がったのは心に秘めておこう。
後ろにいる坂俣さんに火を起こしてもらう。その彼は坂俣さんの方に行き、俺達3人はカブトムシを牽制しつつその様子を見守る。
「焚き火くらいしか出来ないわよ?」
「十分だよ。では失礼しますよ。」
焚き火手を入れて火を手に乗せた。
「そ、それ熱くないの?」
「ん?良い子は触っちゃダメだよ。」
「いや、触んないけどね。」
「ん。君は良い子だ。」
左手に火を乗せた少年がこちらにゆっくりと向かって来る。
「思いつきでやったけど、火って酸素と可燃物だっけ?ガスとか水素って手もあるのか…うむ。」
「翔君見て見て!あの子火を持ってるよ!」
「本当だ…これから何をするんだろう。」
ブツブツと何か言いながら近づいて来る少年。
「これ長くは持てそうにもないな。いっくよ〜加減が分かんないから離れてね。そいや!」
―ひゅるるる…
何とも弱々しくカブトムシに飛んでいく。急いで灯台の入口まで走ったのに…
―ッジ、ズズズズ…。
フワフワした火が当たり、カブトムシは何も変化が起きな
―ゴォォォォォ!!!!!
「な!!」
「あれ〜?間違ったかな〜予想の斜め上をいったよ。」
カブトムシを中心に赤い炎や青い炎が入り混じる。夜の海風がその炎を竜巻のようにその範囲を拡げていく。
「翔、あれはまずいのではないか?」
きりんさんが少しずつ拡がっていくのに気づいて俺に確認してくる。他の人達は…。
「赤いのに青いのと間近で花火見てるみたいだね〜。」
「和歌は呑気よね。でも不思議ね、あの見た目ならここまで暑くなりそうなのに。」
「赤に青ってなると酸素や窒素?水素なんて可能性も…まさかな。」
花火を観てるようにはしゃぐ先輩に冷静に分析する坂俣さんと奏人さん。虫が見えなくなったから、いつもの奏人さんだ。
俺は隣で腕を組んで満足そうな少年に聞いてみる。
「あれ大丈夫なんですか?」
「色々混ぜ込みすぎたかも?君は…翔君だっけ?火ってどうすれば消せると思う?」
「燃えるものが無くなるか、水は…なんかダメなきがするから、二酸化炭素か。もしくは重力で球体にして燃焼させるかってとこですかね?」
「頭いいんだね。まず始めのはほっておいたら森に燃えそうだし。二酸化炭素とか酸素は分かるけど、炭素って何って感じだし。よって最後の案を採用しよう。よっと。」
目の前の竜巻が一瞬で丸い球体になった。最後のは冗談で言ったつもりだったが、目の前にいる少年は難なくこなしてしまった。
「君は…あなたは一体何者何ですか?」
「何者って?あぁ名前言ってなかったね。天河テンカワ 神ジン。君と同じ転生者で今はここの島の担当しているんだ。」
「担当?」
「うん。僕の創ったこの島、世界?次元って言う方がいいかもね。それの担当。」
「世界をつくるって、神様みたいな事…何でしょうか?」
「みたいじゃなくて、僕は地球で言う神様って事だよ。」
「…………って、えぇぇぇぇ!!!」
「あはは。面白い反応だ。やっぱり人はこうでないと。」
軽い自己紹介みたいな感じで凄い事を言われたんですが…。
そんなこんなで、俺達は神様と出会った。
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