第127話 振り出しに戻る?
―パーン。
―パーン。
―スッパーン。
―パン。
「そ、天さん…そろそろ、あの~?」
「……。」
すっすっ。
坂俣さんは手で合図を出す。
『ん?あれは手話?』
『翔くん手話分かるの?』
『何と言っているかは分かりませんが。』
坂俣さんは手話で合図するとそれを見て奏人さんは動きだした。
―スポーン。
「ルカ。」
「了解。」
―ピン。
「やっと触れるわね。」
―パシュ!
―パン。
すすっ。
「うい!」
―スパン!
―パン。
「は!!」
―ズパァン!
「サービスオーバー、ワン・ラブ。」
『ここで動いたぁ!!サービスオーバーです!』
『やっと動いた感じでしたね。』
『ずっとあれが続くかと思ったぞ。』
『ドロップからヘアピンにプッシュで崩してからのスマッシュ。いい動きですね。』
『真面目か!』
『…まだそれやるんすね。』
『んーでも飽きてきたから、次は言わないかも。』
飽きるの早いっすね、まぁそれは別にいいんですが。
『でも一気にレベル上がった気がするよね。』
『あ、はい。和歌先輩も思ってました?俺もそう思います。』
今のを見てレベルは高いと思っていた。奏人さんに集中してドロップとクリアを正確に打ち返すルカさんとヘレンさん。
それを同じく正確に、しかもあれだけの打ち合いをする奏人さん。
状況判断して、僅かな隙にスマッシュを打ち込む坂俣さん。
『約1名がまともに動いたって事でしょうけど。』
『ほほ。ルフィスは手厳しいの。』
厳しい意見もあるが、正にその通りだと思う。1stゲームの動きからは想像出来ないくらい今はよく動けている。
坂俣さんのフォローあってこそだが15ポイント取れている訳だし。
今度は奏人さんサービスで再開か。
―スッパン。
―パン。
―パーン。
―パーン。
ショートサービスからのロブでクリアもお互いに正確に打ち合う。
すっすす。
「うい。」
―パーン。
―パーン。
―スパ!
―パン。
―スパ!
―パン。
―スパ!
―ピン。
―ピン。
―ピン。
―ピン。
クリアからのドライブでヘアピンにも正確に打ち合う。
ヘアピンはヘレンさんと坂俣さんがお互いに絶妙な高さで打ち合いこうなると…。
―ピン、かさっ。
「っく。」
―パン。
「……。」
―パシュ!
「サービスオーバー、ワンオール。」
『ん〜正に息を飲む展開!』
『ネットと言う運も味方にしますか。凄いですね。』
『いや、ヘレンは運だけじゃないがの。』
『あれは普通に狙ってやっていると思いますよ。』
『狙って出来るなんて翔くんみたいだ〜。』
『俺みたいって、ヘアピン続けば誰でも出来ると思いますよ?』
『そ、そう言うものなのでしょうか?』
『いやいや、出来んのが普通じゃ。』
とは言え、ネット側の打ち合いは集中力がかなり必要だ。強すぎても押し込まれて、弱ければネットに引っかかる。
坂俣さんも凄いとは思うけど、集中力ならヘレンさんの方が有利なんだろう。
さて、これでワンオールの降り出しな訳だが…。
そう言えば、奏人さん達は1ゲーム落としていたか。あまりの動きの違いに先の試合が頭から抜けてたな。
それくらいこの試合は面白い。
『あぁ…』
『『試合やりたい…。』』
『ふふ。2人は息ぴったりですわね。』
『和歌がじっとしてられんのは分かるが、翔もかの?』
『和歌先輩と一緒にされるのは…。』
『ひど!?2人共私を何だと思ってるの?』
『『……。』』
『無言はやめようよ〜』
『っふ。面白い方々ですわね。』
じっとしていられない訳では無いが、やっぱり観てるよりやっている方がいいな。俺と先輩はうずうずしながら、試合は止まる事なく進んでいくのであった。
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