第122話 観察して気が付いた事。

「シングルス2、翔選手対ラプテ選手の試合を始める。サービスのじゃんけんを。」


 俺がグーでラプテさんがチョキ。


「では、サービスを頂きます。」

「私はコートだな。このままで構わない。」

「練習どうぞ。」


–パーン。

–パーン。

–パーン。

–パーン。


 送球が少し高めだな…。インパクトの音が爽快だ。

 そんな事を思いつつ俺は頭の中で作戦をたてる。


『打ち合いをみるに両者共に良い音出しますね。』

『そうですね。お互いにぶれる事なくしっかり送球出来てます。これは試合が楽しみですわ。』

『こう試合の始まる前は妙にそわそわするもんじゃな。』

『あ、あの。僕もここにいて良いんでしょうか?』

『いいんだよ。ルニアラくんも一緒に試合を盛り上げよう!』

『はいっす。お2人共頑張って下さい!』


 外野が少しっ騒がしくなった。試合の邪魔にはならなければいいが。


―スッパーン。

―パーン。

―パーン。

―パーン。

―パーン。

―パーン。

―スパン!


「ワン・ラブ。」


『なんかすんなり決まっちゃいましたね。』

『さすがは翔くん、いやーな戦い方だよ。』

『え?』

『クリアが正確すぎますね。』

『微妙に高さも変えているみたいだの。』

『皆さん見ているところが凄いですね。』

『見るだけでも勉強になるから。盗めるものは盗んじゃおう。』

『はいっす!』


―スッパーン。

―スパン!

―パン。

―パーン。

―パーン。

―パーン。

―スポーン。

―パン。

―パシュ!


「うぉ!」


「ツー・ラブ。」


―スッパーン。

―パーン。

―パーン。

―スパ。

―パン。

―スパ。

―パン。

―スパ。

―ピン。


「っく!」


「スリー・ラブ。」


―スッパーン。

―パーン。

―パーン。

―パーン。

―パーン。

―パーン。

―スパン!


「フォー・ラブ。」


『クリアやロブから相手の体勢を崩して…いるですか?』

『うんうん。ルニアラくんよく見ているね!』

『クリアやロブも深く厳しいところに返してますしね。』

『どれも厳しいコースじゃから、攻めるのも大変そうじゃの。』


―スッパーン。

―スパン!

―パン。

―スパ!

―パン。

―スパ!

―パン。


「っく!」


―パン。

―スパン!


「ファイブ・ラブ。」


 んー相手は見た通りのパワータイプだけなんだろうか。左右に動かす以外は、特にしてないんだが。


―スッパーン。

―スパ!

―パン。

―スパ!

―パン。

―スパ!

―パン。

―スパ!

―ピン。


「おおぉ!」


―パン…がさ。


「ネット。シックス・ラブ。」


 これは、もしかして…。ちょっと試してみるか。


―スッパーン。

―スパ!

―ピン。

―パン。

―スポーン。

―パン。

―パーン。

―パーン。

―スポーン。…こつん。


「セブン・ラブ。」


『和歌さんもそうでしたが、翔さんの動きも綺麗な動きですね。』

『そうっすね。試合してみて思いますが、体勢が崩れたりしてませんでした!』

『基礎練習は結構やってきたからねぇ。』

『走り込みなんかもやっておるしの。』


 ふむ。ここまでで気づいてしまった事がある。ラプテさんは、パワー型であるがゆえに、フットワークが苦手なのかもしれない。

 左右に振ると、真ん中に戻るのが遅い気がする。それで動きに無理がでて、体勢が崩れる。


 始まったばかりだが、付け入る隙はとことん使わさせて貰おう。

 さて、ここからはガンガン行きますよ!

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