異聞平安怪奇譚

作者 豚ドン

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★★ Very Good!!

 様々な歴史上の人物が織りなす物語は、さほど珍しくないものの、平安時代中期を舞台に、誰か一人だけを大暴れさせない物語は、私の知る中では唯一無二でした。

 アクションシーン…というよりも、立ち回りといった方が想像しやすい文体は、この時代設定とぴたりと一致しているように感じます。

 そして、その描写。

 これが架空のキャラクターたちであったならば、チートの一言で済まされてしまうのですが、歴史上の人物となれば話は別。伝説に残る強さを表現していると感じられる迫力です。

 しかし、それでも名前に対し、作者の技量が劣っているならばチープな描写になってしまうのですが、豚ドンさんの技量は、歴史上の――しかも伝説上の人物といっていい方々を生き生きと再現できる域に達しています。

 重く迫力のある雰囲気、しかし切れ味の良い文章は、まるで読者をタイムスリップさせてしまったのではないかと思う程、引き込むはずです。

 日本刀の歴史を辿ると、その考案者に、この「異聞平安怪奇譚」の主要人物の一人である平将門の名前があるのでした。

 異聞平安怪奇譚――物語の日本刀と呼べるものだと感じています。

★★★ Excellent!!!

この作品には、歴史の上あまりに有名な、晴明や将門などが多数登場します。では、歴史小説か?と聞かれたら、確かにそうかもしれません。でもこれは歴史を改編するだけでなく、見る人の歴史観や、それまであった物語の概念そのものにさえ、揺さぶりをかける作品です。臆病な作家が、送り手に媚びて書いた作品でありません。ギリシア神話や北欧神話の神々のように登場人物たちが躍動する様を、作者の荒ぶる華麗な筆先から迸る平安絵巻を、是非体験して下さい!

本当の物語ってこういうことなんです!

★★★ Excellent!!!

 平安の時代はまさしく人の世と魔の世が交じり合う不思議な時代。
 同時に、この時代はまさしく動乱であり、そこかしこでは戦の火種がくすぶり、かの大怨霊と恐れられる武将もこの時代を戦い抜いた人物です。
 さて、そんな魑魅魍魎渦巻く時代に狼煙を上げたのが満仲。よもやこの人物を出してくるとは思いませんでした。そしてその相方はかの名高き陰陽師。
 武人と陰陽師、そして妖怪魔物。
 平安の時代を舞台に彼らが織りなす歴史がいかなる結末を齎すのか、期待大です。

★★ Very Good!!

と、本作を読んでから説明文をあらためて確認すると、誰しもそう驚くであろう作品。

それほどに、物語のテンポ、文章のリズム感が完成しています。

良い意味で時代劇っぽくない軽妙なやりとりでキャラクターを引き立てつつ、平安末期の、雅と武と呪とが入れ混じる世界観を崩さず描かれています。

そのあたり時代のファンや和ファンタジーの好きな人にオススメしたい良作です。