第35話新たな武
出迎えるのは
「
寝不足なのか目に
「上々です、説得に時間と手間が掛かりましたが……満足のいく出来に仕上がりましたよ兄上」
ふらつきが大きくなり、倒れそうになる将平を素早く駆け寄り支える
「将平……限界を迎えながらも、よくやってくれた……寝ておけ」
「兄上……寝ます」
将門に支えられたままに、将平は速やかに、安らかな寝息を立て始める。
将門は
「将平の奴め……
もう一度、大きく
黙って見ていた
「そら、将門兄いに初めて頼られたんだ。限界以上に頑張ってでも、命ぜられた仕事を完璧にやり遂げたかったんだよ」
「来春までに仕上げてくれればよかったんだがな」
頭を
「さて、すまんな。
「うむ、すまぬな。あの時は頭に血が上っていた
門番の兄弟二人は吹き出し笑いをする。
先程まで笑っていたのとは一転して、至極真剣な顔で将門の前にひれ伏す。
「弟の
「兄の
「将門様……我ら兄弟、将門様との
口上をじっと聞いていた将門は
「
将門は
「これから大変なこともあるが……その
将門の手の温かさと期待の込められた言葉に、二人の
花咲く梅の枝の
その歌声に導かれ、泥の如く眠っていた
目元の
「将平よ、目覚めたか!」
「兄上、先日はお見苦しい様を見せてしまいました」
衣を正し将門へと向き直り、正座する将平。
「よいよい、将平そのままでよい」
頭を下げかけた将平を手で止める。
そのまま将門は将平の横へと腰を下ろす。
「すまなかったな。無理させて」
「いえ、兄上……私は兄上の為に働けるのが嬉しかったのです。それに私も考えての事です」
将平の言葉に
「ほう、将平よ、お前の考えを述べてみよ」
「はっ……今までの刀とは違い、反りがあり
腕組をしながら、将平の
将平が最後の言葉を言いきるや否や、将平の頭に手を置き、少し乱暴に
「将平、満点だぞ。やはり、一族の中で一番知略が優れているのではないか? 自慢の弟だ」
将平は撫でる将門の手を払いのけるでもなく、少しの間……なすが
竹を芯とした
周りには
「ふうー」
瞳を閉じ、ゆっくりと息を吐き出し、気を集中させ太刀を
「しっ!」
短い気合と共に太刀を
「これは……素晴らしい太刀ですな!
将頼は興奮しながら太刀を
「う……うむ、将頼は放っておくか……見事な太刀だ、名を何と言った?」
刀鍛冶の一人である男は将頼の
が……将門に名を問われたので、表情を鉄の如く、硬く打ち直す。
「名乗りが遅れ申し訳ありません。流れの鍛冶師、
「覚えたぞ、
将門の言葉に反応し思い出し笑いをする鍛冶師鉄太。
「いや、申し訳ない将門様……ええ、ええ
「もっと切れる刀を打とうと
わなわなと震えながら、勢いよく将門の両肩に手を置く鉄太。
「将門様! 後生です、あの
「すまぬな、あれは今は亡き我が親父殿、
将門の口から語られる、事実に打ちのめされ、膝を折り
「おお……何ということだ」
顔を伏せながら
鉄太の心を代弁するかのように
幾つもの
一人は座る
もう一人は狐面を着け、朱い
その者は両手の指の間に挟むように竹筒を持ち、踊り狂う――
長く白い髪が意思を持っているように宙を舞う。
「出ました……平國香様」
目をぎらつかせながら、踊る様を見ていた平國香は近くに寄りながら口を開く。
「なんと出た、早う教えるのだ」
「平将門の
――平國香の瞳には映らない影が何体も竹筒を出たり入ったりを繰り返す。
甲高い鳴き声と共に高灯台の火が消える。
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