第3話 姫川さんは子供をあやすのも上手いんだな。
「きゃあ、エッチな風っ!?」
朝の日課であるランニングをしていると、女の子の華やいだ声が聞こえてきた。
桜吹雪の向こうでスカートを押さえているギャル風の女子高生の姿を目で追っていた。
一番好きなのは『おっぱい』だけど、パンツにも興味がある……そんなお年頃なのだ。
「何っ、見てるのよぉ!? 変態!?」
「えっ」
「今、わたしのことイヤらしい目で見てたでしょう」
俺は居た堪れない気持ちになり、反論することもなく、逃げ出してしまう。
やっぱり女……ヒト……コワイ……女……ヒト……コワイ……女……ヒト……コワイ……。
ただ……下着の見せ方としては……完璧だったな。
ナイス『恥じらい』と叫びたくなるほど完璧な赤面だったな。
見せたくないのに、自分の見せるつもりが全然になかったのに――そういった状況だからこそ、ありがたみがあるのだ。
つまり『嫌パン』こそ『パンチラ』の極意だ。
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日課の早朝ランニングを終えた俺はなぜか? 保育園に来ていた。
生徒会主催のボランティア活動で、立候補していたクラスメイトの『井上さん』に頼まれたのだ。
なんでも急に『外せない用事』が入ったとかで、代わりに引き受けることになった。
まさか? 井上さんが
姫川さんを襲っている写真を撮られてしまった俺は、井上さんの下僕として、馬車馬のようにこき使われている。
パンの買い出しから始まり、肩を揉んだり、フットマッサージをしたり、井上さんの代わりに雑務をこなしたり、などなど……。
井上さんの相手をするのも、めっちゃっくっちゃ大変だけど、それ以上に子供をあやすのは大変なことだ。
小さな子供って、元気だよな。
まるで天使だなと思いながら幼児に大人気の菓子パンヒーロの絵本読んであげたり、何とかレンジャーのオモチャで一緒に遊んであげたり、クレヨンでのお絵描きやお人形遊びも一緒にやった。
さらに難しい年頃なのか? ギャアギャア、すぐに泣くし。
あやすだけでも一苦労だよ。
楽しいのは、最初だけで……もう俺はクタクタだよ。
保育園がこんな修羅場だと思わなかったよ。
もう帰りたいよ、とほほほ。
ちなみに『姫川さん』も参加していた。
色鮮やかな金色の瞳に、小ぶりの鼻と口。
上目遣いのベビーフェイスでも強気な印象があるな。
やや太めの首に、がっしりとした肩。
腕の付け根とほぼ同じ高さあるおっぱいは間違いなくワールドクラスだな。
スラリと程よく引き締まった体型。
真っ白なスニーカーもチャーミングだな
保育士の基準スタイルは、動きやすいジャージにエプロンだそうだ。
スカートの下にジャージーを穿き、ブレザーの上にエプロンした姿は、まるで聖母のようだった。
姫川さんのほかにも、俺が通う高校の制服であるブレザーを着た女子生徒もチラホラといた。
清潔感溢れる真っ白なブレザーにミニスカート。
袖の長いロングブラウスと胸元を飾る真っ赤なリボンタイだ。
白を着用することで身を清め、軽率な行動を戒めるためだとか?
同じ理由で、制服も男女ともに、真っ白なワイシャツ(ブラウス)を採用している。
海外で働く有名なデザイナーが手掛けたとかで、女の子からは『可愛い』と評判が高くて、制服目当てで、ウチの学校を受ける入学者がいるほどだ。
また普段着として『制服』を身につける女子も多いとか。
「ガタンゴトン、ガタンゴトン。まもなく○○ 駅ですがっ!? 特急列車のため、このまま電車は通過します。ガタンゴトン、ガタンゴトン」
「お姉ちゃん、面白い。この電車……いつ、止まるの?」
「ふふふっ。そ・れ・は、秘密よ」
「やっぱりお姉ちゃんは面白いヒトだねぇ」
「りえちゃんだけズルイ。ボクもお姉ちゃんと電車ごっこやりたい」
「私もお姉ちゃんと遊びたい」
ロープを使った電車ごっこは、幼稚園児に大人気だったな。
姫川さんは子供をあやすのも上手いんだな。
あと子どもたちの似顔絵を描くのもめっちゃくっちゃ上手いんだよな。
夜のとばりがおりた頃。
俺はやっと解放され、そのままお布団の中に潜り込んで、死んだようにぐっすりと眠り込んでしまった。
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