file2 エピローグ


「ともかく、今回もありがとう」

 カレンが前置きなく、いきなり頭を下げてきた。


――何だよ! 気持ち悪いな!!

「い、いや、伊織が言ったように、俺は伊織の後ろに居ただけだしな」

 そういいながら、コーラを飲み込む。


 ここはカレンの事務所近くのファーストフード店。その二階奥。

 今日はカレンとその横に伊織、その向かい側に座る形で俺が座っていた。

「わ、私は別に……」

 ――何かウチの義妹いもうとがクチをもごもごさせながら言ってる。なんかかわいいな。うん。


「あの後、二人とも大丈夫か?」

「ええ、元気よ。来週には理央もウチの学校に来ることになってるし、響子も理央が来るからって張り切ってるし」

「そうか……なら良かった」

 少し前に解決した一件について、カレンと伊織とともに振り返りながら楽しく話していた。


 突然、ホントに突然カレンは言い放った。

「シンジ君て彼女いるの?」

「ぶふぅっ!!」

 思いっきり吹くとこだった!! 


――あっぶねぇ!目の前の伊織に直撃は避けたい!!

 テーブルをふきふきする伊織。


「お、おま何聞いてるんだよ!?」

「なんでよ?別に変なこと聞いてないと思うけど?」


――いやまぁたしかにそうだけどさぁ、それを俺に聞くか? カレンが?

 それと、何で前のめりなのかな? 伊織クン。

「義妹の前で聞かなくてもいいだろ?」

「いや、だからこそじゃない!伊織ちゃんだって気になるでしょ?お兄ちゃんが誰と付き合ってるのか。別に隠すことでもないでしょ?」


 そんなバカな事、伊織が気にするわけ――


「は、はい!! 気になります!! すごく!!」


――してたぁぁぁぁぁ!!


「い、いねぇよ! ってか生まれて今まで女の子になんて好かれたことありません!!」

「そうなの?」

「そうです!!」

――冷や汗が止まんねぇし。どうすんのこの空気。

 ってあれ? 伊織がなんか複雑そうな顔してクチをモニュモニュしてる。

 兄のモテなさっぷりに何か悲しくなっちゃったかな。伊織はモテそうだもんなぁ……


「で? それがどうしたんだよ? 俺のモテないカミングアウト聞きたいわけじゃないんだろ?」

「いや? それだけよ?」

「それだけって……ほかにこう……」

「ない! ない!」


――は!? 何を言ってんのあんた!

みたいな顔して! そんな意味深なこと聞いてんじゃねぇぇぇよぉぉぉぉぉ!!


 ……と叫びたくとも叫べない俺が、またコーラをがぶ飲みするのであった。





※作者の後書きみたいな落書き※

この物語はフィクションです。

登場人物・登場団体等は架空の人物であり、架空の存在です。

誤字脱字など報告ございましたら、コメ欄にでもカキコお願いします。


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