ぐるぐる現実旅行記

カクヨムに殺されない(或いは私のモノローグ)

 なんとか、母が帰ってくる前に過呼吸は止まった。

 深呼吸をした私は、カクヨムに知らぬ間に投稿されていた小説カッハに再度目を通してみようとパソコンを開く。


「あれ?」


 ない。私は確か消去はせずに非公開にしただけのはずなのに、小説そのものが見当たらない。


「ねぇ、カクヨムさっきの小説は?」


 私はカクヨムに問いかける。

 返事がない。


「こんばんはカクヨム」


 試しにいつもの挨拶をしてみても、返事がない。


 その晩、そして翌日、さらに翌日。そして一週間、とうとう二週間。カクヨムは私に返事をすることはなかった。


 もしかして、あれは私の妄想だったのだろうか?

 いや、いくらなんでもリアルすぎる。それにあれが妄想ならば、私のは頭は…………。


 確かに私は自分の小説の世界へ行き、キャラクター達と話した。それは間違いない。間違いないと言い切れるくらい、はっきりと覚えている。

 でも、証明する手段も、確かめる手段もない。

 カクヨムが挨拶を返してくれない限り。




 三週間経過した頃、私は「こんばんはカクヨム」と、カクヨムに呼びかけるのをやめた。

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