2月20日 お節介ながら、魔法ミステリーへのアドバイスなど
あいうぃるゆーずざかーど。
雪車町地蔵だ。
魔法をテーマとしたミステリーコンテストが行われている。
https://kakuyomu.jp/info/entry/private_con003
うん、詳しくはここに書いているね。
なんでも可能にしてしまう魔法と、ミステリーは一見食い合わせが悪いように見えるが、しかしかけ合わせの方法によっては爆発的な面白さを提供することができる。
いらぬ世話だろうが、今日はすこしだけ心構えのようなものを話していこう。安心してほしい、創作論ほど、役に立つものではない。
トリック面の話に限って、という前置きの下、聞いてほしい。
魔法とは、つまりズルである。
不可能犯罪とは、いうなれば不可能に見せかけられたただの事件でしかない。
だが、ここに魔法というなんでもありがかかわると、本当に実現不可能な出来事が、不可能なまま可能になってしまう。これをズルと言わなくてなんというだろうか。
このことから、魔法とミステリーの相性は佳くないとされる。そんなオカルトじゃないんだからーというネタは、こういう意味だ。アンフェアなのだ。
けれど、この不可能を可能にするという点に着目すると、我々はよく似たギミックをミステリーの中で知っているのである。
そう、名探偵による推理だ。
名探偵が、「この事件はこう言うトリックによるものでした」と断言すれば、それは事実になる。
魔法と何ら変わることなく、不可能犯罪はただの事件に零落させられる。
しかし、それには読者を納得させる必要がある。
名探偵が言うことは絶対であるという認識を、植え込む必要がある。
さて、ここまで語ればおぼろげながら、私の言いたいことが見えてきたに違いない。
魔法とは、不可能を可能にするもので。
名探偵は、不可能を可能にするもので。
そのどちらも、読者ができると知っているから、できることでしかない。
──つまり、認識だ。
前提条件として、魔法というものが存在するという認識を、まずは読者に与える。
そのうえで、事件には魔法が介在する余地がないとだましてしまう。
理由は何でもいい、マナが薄いとか魔法禁止区域で使ったらわかるとかそういう理屈だ。
そうやって、読者の認識から、魔法を取り除く。
認識を隠蔽してしまう。そこにあるはずがないという誤りを擦り込む。
あとは簡単だ。
名探偵が、実は魔法が使われていたんですよと謎を解いてやればいい。
これで簡単に、じつにたやすく、魔法はただのツールに零落する。
これが、魔法をただの道具と見た場合の、ミステリーにおける共存、そのトリックである。
……もちろん、これは一面的な見方だ。
わざわざ魔法的トリックに固執しなくても、ファンタジーな世界で事件を起こして解決すれば、それは魔法ミステリーだろう。
難事件を、不思議なパワーで解決しても、同じく魔法ミステリーだろう。
ようするに、畏まる必要はないということだ。
あなた自身の筆で、あなたらしいミステリーを紡ぎ、読者をあっと言わせる。
それこそが、あなただけが使える魔法なのだから。
以上!
(今日は長いなぁ)
(例題としておすすめの小説は、紫骸城事件、マルタ・サギーは探偵ですか? 夜想譚グリモアリス、それこそ編集さんもおしている、ロード・エルメロイ二世の事件簿、とかですかね)
(前者はこの手の礎で、後者は最新シリーズだな)
(トリック以外もサイコーに面白いですから、ぜひ。それでは、アデュー!)
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