3章 ヤンデレ妹の兄は先輩の彼氏を演じるようです。

目前に来たりし期末テスト

~まえがき~

 三章以降は台詞だけ書き直し、当時書いた文章そのまま――と言いつつ少しは改変してる――投稿します。

 一章、二章とは文章の雰囲気とか何かがいろいろと違うかと思いますがご了承ください。




 いろいろ、本当にいろいろあった宿泊研修が終わりを迎え、一カ月近くが経過し、新入生も高校生活に慣れ始めたであろう今日この頃。


 二次元部は新たな問題に直面していた。


「「「テスト勉強?」」」


 あかりと夏希、そして梨花の声が重なり、二次元部の部室内に響き渡る。


 普段ならば各々好きなことをしているはずなのだが、今日はまるでミーティングという部活動らしい活動でもするかのように部室の真ん中に置いてある机を囲むようにして夜達は座っていた。


 何を隠そう、来る期末テストについて話し合うためである。


 柳ヶ丘高校は三学期制で例外を除けば一学期ごとに一度、期末テストなるものが存在する。因みに二学期には期末とは別に中間テスト


 教科としては、国語、数学、社会、理科、英語の五教科に加え、音楽や家庭科などの副教科も含まれているため、勉強をせずに挑めば赤点まっしぐらだ。


 そんなテストが三週間後にまで迫っている。


「あぁ、そうだ。今日からテストまで、部活で勉強会をしようと思うんだ。どうせ暇だし、それに……」


 夜は不自然に言葉を切ると三人の顔を睨み付ける。


「三人とも成績悪いんだから勉強しなきゃマズいだろ?」


 三人は一寸の狂いもなく右へ顔を逸らす。訓練された兵士のように統率の取れた行動に少し感動はするが、今はどうでもいいことである。


「おにいちゃん、最愛の妹に向かってバカってひどいよ?」


 あかりを全力スルー。


「ナイトが思ってるほど僕はバカじゃないもん……」


 夏希を全力スルー。


「ちょっ、夜。わたしは理事長の娘なのよ? バカなわけ……」


 梨花を全力スルー。


 三人がそれぞれ反論する。そんな三人の三者三様の反応に、夜はため息を吐きつつ口を開く。


「……はぁ、ならお迎えテストの点数を……」

「「「いや」」」


 夜の言葉を遮り、食い気味に反論する三人。


「どんだけ嫌なんだよ……」

「仕方ないよ、夜クン。嫌なものは嫌なんだから」


 瑠璃も半分諦めてるようだ。しかし、夜の武器はこれだけではない。


「まぁ、最初から教えてくれるなんて俺も思ってないですよ、先輩。だから、先手を打たせてもらいました」

「先手?」


 小首を傾げる瑠璃を横目に、夜は傍に置いておいた入学案内とかが同封されてそうな大きい封筒をあかりたちに見せる。


 勿論、何がなんだからわからない三人の頭には「?」が浮かんでいる。


「夜クン、それは?」

「これは理事長に頼んでもらってきた三人の成績表です。ダメ元だったんですけど、面白そうだからって理由ですんなりくれました」

「何やってるのパパ!」


 思わず声を荒げる梨花。しかし、それも仕方がない。


 面白そうだから、なんて理由で教師が生徒のある意味では個人情報を勝手に開示していいわけがないのだから。


 目の前に掲げられる封筒に、次第に三人の顔が余裕から恐怖へと変わっていく。


「さぁて、三人の点数は……」

「「「見たらだめぇ!」」」


 三人の制止を全力でスルーし、夜は封筒の封を開けた。


夜月 あかり

国語:31点/数学:22点/社会:26点/理科:35点/英語:29点/合計点:143点/平均点:28.6点


朝木 夏希

国語:58点/数学:29点/社会:37点/理科:25点/英語:31点/合計点:180点/平均点:36点


柳 梨花

国語:30点/数学:26点/社会:28点/理科:34点/英語:36点/合計点:154点/平均点:30.8点


「「……」」


 夜と瑠璃は三人の点数を見るなり呆然としている。


 三人は恥ずかしいのか顔を手で隠していたりする。まぁ、見られたくないものを見られたことに恥ずかしいと思うのは当たり前だと思うのだが……自業自得としか思えないのはなんでだろうか。


「……先輩、どう思います?」

「……夜クンは?」

「勉強してないとしか思えないですけど……」


 ちらりと三人のほうへ視線を転じるが、返答はない。まるでぐぬぬ……とでも言いたげな顔を見る限り、おそらく図星なのだろう。


 ナギ高の赤点が30点以下だから、この三人はほぼほぼ赤点である。弁明の余地などないに等しい。


「……先輩。あかりと夏希をお願い出来ますか……?」

「うん、わかった。夜クンの頼みだしね」

「あの、話が纏まってますけど、夜はともかく部長は勉強しなくていいんですか?」


 勝手に話が纏まっていることに梨花が待ったをかけた。夜の成績は梨花も慎二経由で知っているが、瑠璃の成績に関してはまったく知らない。


 教えてくれるのは構わないというか寧ろ嬉しいのだが、自分たちに勉強を教えて瑠璃の成績が悪くなったら申し訳ないというのが、梨花の内心なのだ。


 しかし、その不安は杞憂に終わる。なぜなら。


「それなら心配はいらないよ、梨花クン。こう見えて、私は学年一位だからね!」


 瑠璃の言葉に三人が一斉に瑠璃の方を見やる。え? うそでしょ? と。


 半信半疑、否、二信八疑の三人は夜に確認するべく、というよりも嘘だと言って! と言わんばかりに視線を向けた。


「俺もいまだに信じられないけど……本当なんだよ……」

「そろそろ認めてくれてもいいじゃん、夜クン……」


 普段の部室での瑠璃しから知らない三人にとっては、甚だ信じられないことだ。


 だが、夜も本当なのだと言っているのだ。嫌でも信じるしかない。


「そんなわけで、あかりと夏希は部長に教えてもらってくれ。俺は梨花に教えるから」


 勉強を教えてもらう、というのは三人にとっても悪い話ではないと思うのだが……いやいやと頭を振っている。どうやら、相当勉強したくないらしい。もちろん、気持ちはわかるのだが……。


 最後の最後まで抵抗していた三人だが、赤点を取れば追試が、更には夏休みには補習が待ち受けていると知らされて渋々ながらもこくりと頷いた。だって、追試も補習もしたくないし。


 そんなわけで、急遽期末テストまでの二次元部の活動内容は勉強会に決まったのだった。




~あとがき~

 ども、詩和です。いつもお読みいただきありがとうございます。

 さて、始まりました毎日投稿一日目。みなさま、いかがでしたでしょう。

 どうです? 文章の拙さが半端じゃないでしょ? 二章の改稿前はこんなもんじゃないんですよ?

 これからも、拙い文章が続きますが、優しい目で見守ってください。そして、こいつ成長してやがる……! と声を大にしてください。詩和が喜び庭駆け回ります。

 とまぁ、そんな冗談はさておき。こんな調子で毎日更新していくつもりなのでお楽しみに。

 これから毎日は書かないかもしれないですけど、あとがきのネタがなくなったら困るので早めに切り上げます。

 そんなわけで、今回はこの辺で。

 それでは次回お会いしましょう。ではまた。

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