グラデーションズ

作者 武濤 洋

3

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★★★ Excellent!!!

 LBGTやマイノリティーを取り巻く物語といえば、当事者か当事者でないか、マジョリティかマイノリティか、受け入れるか受け入れないか。そんな二択を感じるものが多いように思う。
 マスコミでは未だに『特別』として扱われる事が多く、また、キャラクターとして『特別』として、生き抜いてきた人々もきっと少なくはないだろう。
 残念ながら、未だマイノリティーに入れられてしまった当事者達がストレスなくいきられる社会でもない。

 けれど、辛いのはマイノリティーの当事者だけというわけでもなく。
 当事者だからすべからく辛いわけでもない。

 カフェ&バー、バルバロイに集う人たちは、『○○だから』ではなく、ただ一人の自分自身の問題として、受け止め、悩み、足掻き、そして何かを探している。
 明確な『答え』なのかもしれず、一つの『形』なのかもしれず、抱え続ける『結果』だったりするのかもしれず、それらを受け止める事かもしれない。
 いや、そんな意識さえしていないかも。

 読んでみて、普通だなと思った。物語としてありきたりという意味ではない。
 普通の人たちの普通の悩み。普通に気づき、普通に喧嘩し、普通にチャレンジし続ける。
 ただ、二択ではないその合間、グラデーションのどこにあるかが違うだけの。

 困っていることも悩みも罪悪感も、もしかしたら、怒りも諦めも。持っているままの、貴方でいい。
 男とも女ともなく言い切れず、両方であり、どれでもなく。アイデンティティが揺れたとしても。そのままの貴方でいい。

 そのままの貴方が、そのままで、けれど少し、楽になれたら。

 ――きっとそんな、優しさをもつ小話集。