第33話 洞窟へ行く前に 魔法の改編

 この一年、この世界の魔法について白銀しろがねに教えて貰って来た。

基礎から学ぶ魔法学の様なノリだ。


 保有魔力量は人により様々だが、基礎魔力量は個人差があり一般的には一系統、一魔法使える人で10~50MP程度を生まれつき保有しているそうだ。当然、例外もあるそうです。


 使える魔法が増える事で魔力量が増えていく。習得した魔法により増える魔力の最低量は決まっており、生活魔法の「火種ファイアー」なら、習得すると基礎魔力量に凡そ10~20MPがプラスされる。

火種ファイアー」で使う魔力量は2MPなので、大体5~10回は魔法が使える計算になる。

当然高度な魔法を習得すると、取得する魔力量が大きく上昇する事になる。


 従って、基礎魔力量は50MPの人が生活魔法の「火種ファイア」を習得すると、10~20MPが増加し60~70MPになる。


 重要な事がもう一つ、生活魔法は属性魔法とは系統が異なっており、属性に関係なく習得が可能だ。

 習得するにはスクロールを購入し、魔法を使用する事で可能になる。

覚えの悪い人でも三回も使えば覚えられるそうだ。

 どんな理屈かと言うと、使用することでスクロールに記載されている魔方陣が、深層意識下にある魔力回路へと転写されるらしい。


『生活魔法』は八個が発見されており、 除染クリーン火種ファイアー乾燥ドライウォーター洗浄ウォッシュ水浄化ピュア ウォーター氷塊アイス光明ライトになる。


 各属性にはプラス補正も在るそうだ、例えば水属性の人が水聖の加護を取得した場合だが、水属性にプラス補正が掛かると同時に、聖属性が解放またはプラス補正が掛かるのだ。

俺は知らぬ間に水聖の加護を貰っていた?

覚えは無いのだが有り難く頂戴しておく。


では他の属性魔法はどうやって覚えるのか? 白銀しろがね曰くイメージ力によるそうだ……。

何だそれは!? 乱暴と言うかいい加減と言うか……

雲をも掴むような話では無いかと思う。

 

そう言ったら、


『魔法適正は皆持って生まれて来るが、生活魔法と違い属性魔法は皆が使える訳ではないのだよ。

これが、生活魔法は属性魔法とは系統が異なる理由だな。


属性魔法を持つ者には、魂に紐付けされた「魔導書、黒の書、魔法書」などと呼ばれる物が、意識下にイメージとして備わっておる。


 そこには様々な属性魔法を格納する事が出来き、一度でも発動できれば「魔導書、黒の書、魔法書」へ魔方陣が刻まれる。

新たに創造した魔法も同様だな。

後は、詠唱するかイメージで発動する事が可能になるのだよ。』


「魔導書って、実際に手に取って見ることは出来るのかな? 」


『魔導書を具現化させる事は可能だぞ。 

魔導書具現化スペルブックエンボディーと詠唱するか、意識下で唱えるだけでよい 』


「やってみるよ。 魔導書具現化スペルブックエンボディー 」


目の前に黒い革で装丁された様な、一冊の本が具現化した。


『具現化したな、手に取り最初のページを開き、一覧リスト詠唱となえてみろ 』


手に取りページを開き、

一覧リスト) 」と詠唱した。


『今現在使用できる魔法の一覧が表示されている筈だ。

この数ヶ月は魔法も色々覚えたであろう。かなりの数に成るのではないか?

沙弥華さやか殿はどうかな 』


「うん。ゲームでお馴染みの魔法は結構覚えたから、色々あるわよ。

でも偏っているみたい。雷属性と地属性に風属性が多いのよ。

……聖属性も少しあるわね 」


「こっちも偏ってるな~。

火属性と水属性に氷属性と光属性と聖属性かな。

ゲームで言えば初級の魔法が多いな 」

あれ? 転生リーンカーネーション? こんな魔法をいつ覚えたのかな?。


『うむ、当然ではあるな。

徐々にステップアップして行けば良い。

中級までは比較的覚え易いが、上級魔法に行くほど難しくなる。

イメージだけでは無理なものもあるので、詠唱を使い魔導書に直接書き込むのも一つの方法だな 』


「そんな事も出来るの? 魔法陣を描くのかと思ったわ 」


『魔法陣を描く方法もあるが、詠唱で言霊を魔導書へ送り込む事でも代用が出来るのだよ。魔法陣を描くには技術がいるのでな。 

 まぁ、ローベンシアから他国へ渡る前には、中級はマスターしたい所ではあるが、ぼちぼち行けばよいだろう 』



    ◇    ◇    ◇    ◇


 何気なく称号を確認した。

元々あった称号は「遊者、繋ぐ者、開拓者、探求者、技巧士」だったのだが、「遊者、領国の主、繋ぐ者、探求者、技巧士、創作者」に増えていた。


もしかしたらゲームのようにスキルもあるのか? と白銀しろがねに聞くと『あるぞ』と一言いわれた……。


スキルは何でも覚えるのではないらしい。

称号に連結したものを主に取得するとの事だ。


遊者関連は「遊者」で括られ、異界語に攻撃回避や毒耐性、呪術耐性など勇者なら持っていそうなスキルが軒並み格納されていた……。


変わった所では料理関連かな? 

「料理人」の中に、調理、炊飯、焼、煮、炊、蒸、燻、調味、配合、出汁、包丁捌、味見、発酵、調合などが含まれていた。

アウトドア関連では、野営、設営、竈、焚火、縄師、薪割、漁……縄師・・!?


その中に変わったものを見つけた。魔導+4・・プラス? これは何だろう?

白銀しろがねに聞いてみたら予想外な答えが返ってきた!?


『+《プラス》と言うのはな、この場合対応する称号に付加・・・・・されるのだが。

「魔導+繋ぐ者」「魔導+探求者」「魔導+技巧士」「魔導+創作者」と言う様に、数字は連結出来る称号の数になる。


 例えば、魔導+3・・プラスなら「探求者、技巧士、創作者」と連結されるのだよ 』


「良く判らないけど……何ができるようになったのかな? 」


『うむ。 例えばだが、新たな魔法を創作する事が可能な称号にプラス補正される。

「繋ぐ者」は事象を繋いだり、人を繋いだりと曖昧な称号だが、「魔導」が追加されたなら、浄化ピュアウォーターを繋ぎ水・浄化ピュア・ウォーターと言うようにな。

「魔導+創作者」もあるなら少し違った魔法も開発できるやも知れぬぞ?

だが、御主に魔法のセンス・・・があればの話だがな! 』


「センスね~ぇ。 望み薄だね……。 まぁ、少し考えてみるよ 」


    ◇    ◇    ◇    ◇


 洞窟に行く前に少し時間をもらって試した。

蝙蝠バット蜥蜴リザードヴァイパー対策だ。


 隠密 気配遮断 音波遮断 は、そこにある物体が消えた訳ではなく、視覚や気配感知を誤魔化す魔法だ。

「しかし、超音波でサーチされると見つかってしまう 」

音が消えてもその部分だけ反射がないために発見されてまう。

「ならどうするか? 」

騒音を消す地球の技術を応用してみる事にした。


 組み合わせるのは音響探査ソナー音響反射リフレクション音波逆位相リーバースウェーブの魔法だ。

音を調べ、逆相違で反射相殺する。

目論見は上手くいき、音響相殺アクティブ サイレンサーはオリジナルの魔法として誕生した。


この辺はどうして出来たのか? イメージ力の様なモノらしい。

発動する事で意識化に魔方陣が作成コピーされるそうだ。

当然、魔導書にも記載されていた。



光属性の不可視化魔法のインビシブルは光学迷彩だが、光の屈折を利用したものなので触れば実体はあるし、体温は誤魔化せない、臭気や音も誤魔化す事は出来ない。

 

 超音波は静寂の魔法、サイレントを使い防ぐ事も考えたが、音響相殺のアクティブ サイレンサーを使う事にした。

音の波形に逆位相の波形を重ねることで、山と谷とを相殺して音を消す。

これを利用した消音魔法だが、超音波にも通用するはず。

自身の出す音にも有効だから、重ね掛けする魔法が減らせる。


 次いで、臭気も注意する、風檻エアロ スフィアで冷気を遮断する事で、自身の臭いも遮断できると良いのだけれどな。


 インビシブルとサイレント、氷霧アイスダストで温度を感知され難くする。

自分が寒くならないように風檻エアロ スフィアで冷気を遮断し、音響相殺アクティブ サイレンサーで超音波を相殺すれば、蝙蝠は目標を見つけられずに狂い飛ぶはず。


後はスキルで補助すれば良いのかな? 

白銀しろがねに聞きながら創って行きますかね。

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