第10話 色々と聞いてみよう
ガスガンのテストをした後、もう一泊し釣りを満喫した。
「命を奪う覚悟」からの逃避もあったのかも知れない。
それでも冒険を続けようと思ったからには、確認しなければならない事が他にもあったからだ。
例えば、車の燃料の問題だ。
幸いと言うか時間補正の力で土日休みなら余裕を持って四泊五日が可能になる。
ギリギリなら五泊も可能だが、流石に五時間の睡眠では翌日の仕事に差し支えるだろう。
車を使う以上は当然ながら燃料を消費する。
ガスコンロやランタンもガスなども使用すればその分の燃料を消費する。
当然の事だが、異世界には便利な二十四時間の営業の「コンビニ」や「ガソリンスタンド」などは無い。
時空庫を使えば数多くの予備を持って行けるとは思うが、根本的な解決策ではない。
万が一を考えて行動する必要があると思う。
自分ひとりであっても
決して一人きりには出来ない。
いや、妹に一人だけ残されるような悲しい思いをさせたくない。
「異世界での燃料切れ……。 JAFも来てくれる訳はないよなぁ 」
と言う当たり前の問題。
しかし、これもファンタジー効果か?
リリスの説明だと、地球由来の燃料は基本消費しないらしい。
『マスター、それは問題は無いのです。
この車両に積載され持ち込まれた物は、車の燃料からコンロまで地球由来の燃料は一切消費しないのです。
代わりに消費されるのは、マスターの
マスターが時空庫で持ち込んだ物も含まれますので御安心下さいませ 』
ここで問題の発言が
「魔力? 」
『はい、地球の人種にも魔力はあるのです。
ただ使い方を知らないだけなのです。
遊者補正による魔力量の上昇補正効果もあり、マスターには十分な魔力保有量があるのです。
なので魔力切れによる燃料切れ? と言う物は気にしなくても大丈夫なのです 』
「もしかして、エンジン音が消えて静かになったよね?
まるで、ハイブリッド車のようにモーター音になったのだけど、燃料消費による内燃機関ではなく、魔力によりエンジンをモーターの様に動かしていたからかな? 」
『はい、マスター、正解なのです。
燃焼ガスも魔力変換が行われ発火同様の現象を起こしますし、ガスガンのガスも魔力変換により圧縮された魔力が放出されます。
車のエンジンなどは、圧縮と膨張や加圧などのサイクルを魔力で行なって「駆動力」などを抽出していますね。
それと、補足なのですが。イメージ補助はその魔力が変性・変質し事象への干渉力を上昇させます。
変性・変質させる事により規模や強度の改変を行っているのですよ 』
色々と!不思議機能が……。
「あと、事故などでの破損と言うか……、車の故障なんかはどうなるのかな?
簡単な修理は可能だけど、事故でぶつけたりすると自走できない可能性があるけど 」
『それも大丈夫なのです。
遊者補正は車両の搭乗者及び積載された物へ補正が実行されますが、車両その物も含まれるのです。
基本的な補正内容は基本性能拡張、強度拡張、防御拡張になるのです。
三種類の拡張機能を説明するのです。
基本性能拡張は対象その物の基本性能に補正を掛けるのです。
車の場合は走破性強化や性能強化が主なのです。
走破性は道無き道を進む事が可能になり、性能強化は最高速度やトルクアップ、積載量の強化なのです。
強度拡張は対象その物の肉体強化や耐久力、持久力強化が主になるのです。
肉体強化は鉄をも砕く事が可能になり耐久力、持久力強化は鋼の肉体を獲得出来、車ならどんな衝撃にも耐え、如何な場所であろうと何処までも走り続ける事が可能になるのです。
防御拡張は対象その物の防御性能を補正し、結界能力も付与します。
強度拡張に重複する部分もありますが、基本は防御力の強化になり、たとえドラゴンのブレスであろうと、神の一撃であろうとも、いかなる攻撃も防御する能力でなのです。
三種類の拡張機能を与えられたこの車は、まさに、走る弾丸、走る要塞なのです! 』
しゃべり終わったリリスを見ると。
『はぁはぁ』と息をし頬を紅潮させて両の拳を握り締め、言い切った感全開で天を見上げていた。
恐らく、後半の怪しい部分の説明が原因? いったい誰に? アピールしていたのだろう。
若干引き気味で眺めていると、此方を覗き込む様な可愛い仕草で
『マスター、お分かり頂けたでしょうか? 』と呟いた。
一部……いや、最後はかなり不穏な説明が有ったのは……。
気にしない事にして、理解出来たことを伝えた。
その後細かな事を確認して就寝し、翌日帰宅した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
初めて異世界へ旅をして一週間が経った。
明日からの土日休みを利用して、
前日は会社からの帰宅途中で、食材などの買い込みを済ませ、夕食後には準備と積み込みを終わらせていた。
今回は
ただ、事故の不安が掠めたが、リリスから現状のマップでは「事故などの危険」は無いと確認してあった。
初めての異世界。
さて、どんな反応をするか……。
楽しみでもあり、不安でもあったが隠しておく事も出来なかった。
たった二人の家族だ、何れ危険なマップも開放することになるだろう。
そんな生活をしていて……事故に巻き込まれれば帰ることが出来なくなるかもしれない。
一人残すなど、それを容認する事はできなかった。
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