第10回 ANOTHER DAY IN PARADISE
崎守女史の電話の内容は事務的なものだった。
映画「オーバー・ザ・サマー・アポカリプス」のラストの資金繰りはうまくいっていて、ラストの仕上げの脚本は慌てて仕上げなくてもいいとのこと。
「もう昨日徹夜して、熟考してみて7割方仕上がってるけど、もっと詰めたい」
「監督もうここまで来たら後戻り出来ませんよ?」
いつものクールな口調に戻ってきた。崎守女史はこうじゃなくちゃ、控えめな姿勢じゃ逆に調子狂う。
電話を切ると修羅が寝起きの顔で愚連を見ていた。
「崎守マネージャーからですか?」
「そうだけど」
修羅は顔を下に向け考え込んでる。だからお前に太刀打ちできる女じゃないと何度言わせるのか?
「それよりお前コンビニでビタミンドリンク山ほど買って来い、あと野菜ジュースも10個くらい、スナック菓子も5,6袋お願いする」
修羅は「はい、はい」と言って部屋を出ていく。
「さてぼちぼち1Q84(いくわよ)」
本城ベータは坂本弓枝とファミレスで昼食を取っている。
「なんつーか、君は積極的な女性だよね」
坂本はフォークでパスタを摘み「本城さんは私とのこと気にしてるの?」
「いやー、俺も分不相応の男だから、本来君みたいに若くて魅力的な女性とこうして食事してること自体おこがましいというか……」
坂本は少し伸びをして「何自虐的なこと言ってるの?”一秒前が懐かしいほど、お、女は変わるの”っていう歌知ってる?」
「昔聴いた記憶がある」
「私は一秒前のことに執着心はないの」
一息置いて「大体不相応な男にミス・ユニバースみたいな彼女がいるわけないじゃない。言ってる事おかしいよ?」
「まあ、そうなんだよね実際」
「本城さんは自分を過小評価しすぎ。何もなさそうなふりして、仕事はきっちりしてるし、影で追っかけが2.3人いることも気付かなかったんでしょ?」
「まあね」
「もっと自信持ちなさいな」坂本は微笑みながらパスタを丸める。
天国口高校はかんかん照りの中、再び熱中症警報が鳴り部活中の生徒は校舎へ戻っていた。
2年A組の枝野光輝は女生徒霧山柚季とカップル守屋瑛太郎と如月美津菜と4人で談笑していた。
霧山柚季と守屋瑛太郎は学級委員だった。守屋と如月は中学からの仲で公認の恋人同士である。
「お前ら何年付き合ってるんだ」枝野は足を組み貧乏ゆすりしてる
「3年くらいかなあ……」守屋が力なく答える。チラチラと如月を横目で見てる。如月はこういう突っ込んだ話が嫌いである。話題を変える。
「そういや枝野視聴覚委員だろ?"ジャスミン・ティー"か"KEEP WIND FACER"でも流してくれよ」
「ああ、そうだな。相棒に今メールするわ」
枝野光輝の相棒の視聴覚委員、野比浩太朗は部室にいて、こないだ寄付で流れてきた200枚くらいのCDを整理していた。メールを見て適当に曲を選曲する。
教室のスピーカーから"EVERY LITTLE THING"の”出逢った頃のように”が流れる。
「あ、この曲聞いたことある。昔の曲だよね?」霧山柚季は即座に反応する。
「次のライヴいつなの、霧山?」枝野が鞄の中をまさぐりながら言う。
霧山柚季はガールズバンド”エセエラ”のボーカル兼ギター担当。
「今はまだ予定なし。曲作りで他のメンバーも籠ってる。私も今日ここ来てるけど詩作しないと……」そう言ってノートを取り出す。
さっきから会話に参加しない守屋のステディ如月美津菜は携帯電話をいじくってる。
守屋は「じゃあ俺らこれから用事あるから帰るわ。美津菜行こう」と言い、如月の肩をポンと叩く。
如月は無言で守屋の後をついていく。
アナザーワールドの守衛通称”Mr.Z"はいつも灰色のマントをして帽子を深く被ってるので、表情がわからない。
白い麦わら帽子の4,5歳の少女は”Mr.Z"に封筒を渡す。
”Mr.Z"は受け取って中を見るとラムネ菓子が入ってる。”Mr.Z"は少女の頭を撫でる。
当て所のない旅を続ける伊藤影道と朝久里映見。
旅館に泊まり個人浴場で一緒に入浴する。映見は特に恥ずかしがらず、湯船につかる。
「映見、形のいいおっぱいしてるな、そういうの美乳っていうのか?」
映見は呆れ顔で湯船を出て体を洗い始める。
「まだ夕食取ってないんだから、影道も早く体洗って」
「OK」そう言って伊藤影道は浴槽を出て、髪の毛を洗い始める。
浴衣姿の映見はなかなか色っぽい。影道はビールを飲みながら、映見を見つめる。
映見は影道の隣に来て肩に寄り添う。影道は映見を抱き寄せる。
アンドロメダ星雲の外れの星”メディアク”……。
アポロンとアテーナーはついにX軍を牛耳る”大拳者”と対面することになる。
ブラック総帥のボルゾックに導かれ、アポロンとアテーナーは”メディアク”に突入した。
2017(H29)2/21(火)・2019(R1)12/4(水)
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