第20話「いっしょにお茶を?」
第二十話「いっしょにお茶を?」
「う……ん」
頷きはしたが、何だかモヤモヤしたスッキリしない顔の
「えっと、本題に戻ろう、その
多分に無理矢理感の否めない俺の話題変更。
だが、彼女が知らない以上、今、いくら考えても解決の仕様が無い。
「う、うん……一応、下級の
「けど?」
「数がね……数が多いと少し手こずるかも?」
発光する、いわゆる火の玉系の
それらを纏めてウィル・オ・ウィスプと呼ぶことが多いのだが、今回はその中でも、
そしてその
「
「ううん、そう勘違いされていることが多いけど、実際には毒ね、痺れるって言うか」
「毒?……クラゲみたいなものか」
「うーん、近いものがあるけど、もっと強力な……あれはいわば”呪い”の
「……」
ーー”呪い”、なんだか一気に夏っぽくなってきたな……
「えっとね、
「そうなのか……」
相づちをうちながらも、”半端な能力者の俺ならどうだろう?”、”俺の
「それより、わたし達は三人パーティーだし、えっと……”なんとか堂”くん?あのひとは
「…………」
そうだ、そうだった。
そして集まる人間は、比較的高
だからこそ、不公平を無くすためにハンデキャップ制度がある。
俺達の場合は、計四十体の
競技エリアが
「ある程度の実績というのがどのくらいかは解らんが……まぁ、やるだけやるしかないな」
自身の留年脱出基準を、俺はまるで他人事のように言う。
「なんか……
呆れたように彼女が言った。
「そうか?」
「そうだよ、
途中からなんだか頬を染めて最後の方がごにょごにょとなる少女。
「いや、どっちにしても腹ごしらえも済んだし、午後からは本番だ、やるしかないだろ」
そう言って俺はレシートを持って立ち上がった。
「……そうね」
……?まだ何か言いたいことがあったのだろうか?
「ああ、そう言えば何か忘れてる気がするなぁ……なんか引っかかるが……ま、大したことじゃ無いだろう」
「大したことだっ!!」
俺と羽咲の会話に突然割り込んできたのは…………
見覚えのある男……
「……お……おお」
知らない間に俺の隣に見知ったでくの坊が立っていた。
そして俺は今思い出した!今回の三人パーティーの一人は
「ほ、
挨拶も無しに泣きそうな顔で抗議してくる男。
「呼ぶも何も……現地集合、現地解散って言ってあっただろ?」
俺は昨日伝えていた情報を確認する。
「ぼ、僕だけ現地集合、現地解散か?……僕だけ……」
「…………」
う……とくに考えてなかったが……なんか、この男の落ち込み様を見ていると、今更になって罪悪感がチクチクと……
「いや、偶然だって、偶然!……たまたま
嘘だ……実際は
いや、だって、そんなの俺も知らなかったし、その流れでここに来たわけだし、大体、ホントのこと言ったら余計ややこしそうだろ?
「それだけか…………」
恨めしそうなジト目で見てくる
「あ、ああ、それだけ……」
「あ、”どーどー”くん?、貴方もここで休憩?……そうだ、ここ、すっごく大きなパフェがあるのよ、
変なタイミングで会話に介入する無神経
ーーバカっ、空気読め!
「…………」
うっ!……ほらみろ、
いや、俺は悪くないぞ、だいたい飯の前に無理矢理化け物級のパフェ食わされる身になってみろ!ある意味拷問だぞ……どーどーくんよ。
「……」
「あ、あれだ、
「…………だが……なんだ?」
落ち込みきっていた顔を上げ、
「だが……そうすると、協力してもらう手前、おまえにも奢る必要があるだろ、誰が好きこのんで男に奢るかよ!」
ーーおまえも忙しいだろうから、そこは控えたんだ。
「大体、もともと俺が頼んだ訳じゃないしなぁ……」
ーー経緯はどうあれ、感謝はしてるんだぜ!
「……」
「……」
何だか変な顔で俺を見つめる
ーー変なヤツだな……
「キミ……まさかとは思うが……考えていることと、口に出していることが逆になっていないか?」
「……あ!」
心底呆れた顔で俺を睨む
「…………てへっ!」
「
俺の会心の笑顔、”ドジッちゃった、でもこの笑顔で許してね、てへっ!”が全く通用しない
「いや、だってなぁ、
俺はこの技の元祖使い手であり、師匠?でもある美少女を顧みた。
「……っていない!放置かよ!」
「く、クイーゼルさーーん!僕とも、僕ともブレークタイムを!」
俺達が不毛なやり取りを続けている間に、プラチナブロンドの美少女は姿を消していた。
っていうか、単に先に会場に向かったのだろう……冷たい……
「…………」
いや、確かに、時間には多少余裕があるものの、こんな無駄な事をしていても仕方が無い、俺も向かうか……
「……ああ……クイーゼルさん……なぜ……」
「…………」
振り返った俺の目に入る男の姿。
彼女の座っていた席に腰を下ろし、項垂れて小さくなる様は、普段の無駄に偉そうな態度と百九十センチを超える偉丈夫だけに何とも言えぬ寂しさを感じさせた。
「……ほら、取りあえず茶でも飲むか?奢ってやるよ」
何だかいたたまれない気持ちになった俺は自然とそう声をかけていた。
「じゅ、ジュンジュン……」
ーーだ・か・ら・ジュンジュンはやめろ、ジュンジュンは……
そうして俺は、暫くの間、仕方なく
ーーうぷっ!……戦う前に、こんな喰って大丈夫か?……俺
第二十話「いっしょにお茶を?」END
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