引き上げ
その後、いろいろ問題があった。
敗戦国である同盟がここまでの仕打ちはひどいのではないかと言ってきた。
まぁ、そう思う気持ちもあるのだが、そもそも勝手に攻めてきて勝手にやられて、ここまでの仕打ちはひどい。おかしいと言ってきているのだ。
バルバロット帝国側からしてみれば、その発言の方がおかしいのだが、それでも第一に自分のことを考えなくてはいけない彼らには、それが分からないらしい。
しかも、別に傀儡化したからと言って、彼らに一切の自由が許されないということはない。
それどころか、今回の傀儡化によって、市民にとっては前よりも住みやすくなるということもある。
しかし、今回の傀儡化は、完全な傀儡化ではなかった。
今回の傀儡化に関しては、あまり戦争に参加していなかった領主に関しては、そのまま領地を渡しているところもある。
これは、貴族として活躍できるほどの能力を持っている人が少ないということで、使えるものは使ってしまおうという魂胆だった。
しかし、バルバロット帝国の傀儡化でも、自分の領地はもらえたということで喜んでいた領主たちの喜びは一瞬にして変わった。
それは、バルバロット帝国からの命令で、この国の法律が変わったのだ。
それは、過度の税収をしてはいけないというものだ。
戦時中では仕方ないかもしれないが、それでも基本的には、最低限の税だけを徴収するようにしたのである。
そもそもこれに関しては、バルバロット帝国本国の方でも行われいるのだが、そんなことを知らない傀儡国は、市民は今回の傀儡化による恩恵を受け始めて、傀儡化されてよかったのではないのかという錯覚に陥っているが、貴族の方はそうではなかった。
「まずいまずい。金が尽きるぞ!」
今まで税金で稼いできた貴族ほど、今回の制度で苦しむことになっている。
つまり、貴族の中でも、しっかりと領内の生産に力を入れていた貴族に関しては、そこまで苦しむことがないのだ。
「どうするべきか…」
「やはり税金を引き上げるべきでは?」
「しかし、法律がな…」
しかし、このままでは、数か月後には破産をしてしまう。
つまり、税金を上げるしかないのだ。
「仕方ない。上げるか…」
そして、領主は税金を少しだけ上げた。
これに対して、バルバロット帝国は運営のために仕方がないレベルの引き上げは、目をつむるということで、そのままにした。
しかし、この後別の問題が発生してしまうのだった。
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