奴隷
バルバロット帝国に戻ってきたアインは、さっそく来ていた王に問い詰めた。
「で、どういうことですか?」
「い、いや本当に知らなかったんだ!
ほ、本当だ。今回のことに関しては、軍部のほうが勝手にやってしまったことなんだ!」
実際、彼が行っていることが本当のことだということはアインも分かっている。
しかし、もともと彼らの同盟に関しては、バルバロット帝国を攻めるために作られていることはわかっていたし、それに、今回演習をしていなければ、彼自身も率先して戦争をしてきていただろう。
「そんなこと言って、自分が油断させるとでも言っていたのでしょう?
実際に、我々は今回のことに関して、いつも以上に対処までに時間がかかってしまった。」
アインはそんなことを言っているが、相手の王は全然その言葉をそのままでとらえることはできなかった。
(本気で言っているのか!
確かに今回の演習でこの国が強いことはわかったが、まさか我が同盟がたった一日で壊滅状態にまで追い込まれてしまうとは。
しかも、今回の戦争で、バルバロット帝国に逆らった国はすべて傀儡化だと?
それでは私はどうなってしまうのだ。)
まだ、自国が残っていれば、その国に行くという方法が残っていたかもしれない。
しかし、自国が完全になくなってしまった今ではそんなこともできなくなってしまったのだ。
(こ、これからどうなるんだ…)
「さて、あなたにはこれから何をしてもらおうか…」
行ってしまえば、敗戦国のトップである。
日本は幸いにも昭和天皇は、終戦後でも、その権威を持っていられたが、それは、戦勝国である米国が民主主義だったからである。
それに対して、バルバロット帝国では、完全なアインによる君主主義であって、アインの判断でほとんどのことを決められるようになっている。
その結果が、戦争相手国のすべてを傀儡だったのだから、アインは今回のことを自身が行動していないからといって、彼に何の責任も取らせないようにすることはない。
「とりあえずは、どこかの国に売るか。」
幸いにも、バルバロット帝国以外では、普通に奴隷制度を入れている国は多い。
それに、人口の半数以上が奴隷という奴隷国家もある。
そんな国に売ってくれれば、こんな、王室でぬくぬく育ってきた男でも買ってくれるだろう。
それに、王室育ちということは、それなりに頭がいいだろう。
それを参考に勝ってくれる人が出てくるかもしれない。
「誰か来てくれ。」
アインがそういうと外で待機していた兵が入ってきた。
「どこかに売っておいてくれ。」
アインは奴隷に仕手とも何とも言わなかったが、人間を売るといっている時点で奴隷確定だろう。
そして、そんなことは国のトップとして、自らも奴隷を持っていた相手の国王も分かった。
「ま、待ってくれ。
本当に私は何の命令も出していないんだ。
本当なんだ!」
しかし、アインはここで相手が知らなかったであろうことを言った。
「大丈夫、君たちの会話は聞いていた。
どうせ、この演習がなかったら、そのうち攻めてきていたのだろう?
それに、今はまだ中世、勝ったほうに正義がある。」
そういって、アインは問答無用で兵に王をもっていかせた。
「さて、一番の不安要素がなくなった。
これでしばらくは安定するだろう。」
それに、目的の者たちはいなくなってしまったが、それでも一応まだ演習は続いている。
今この演習を見ているのは、同盟国の王と、この島の住民だけだか、先のことを考えるのは演習が終わってからでいいだろうとアインは考えるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます