第463話5人の最強


「白銀の旋風か…」


正直、アインは聞いたことないので、最近できたクランなんだろう。


そして、最近できたのに、Bランクに行っているということは、確実に力はあるということだ。


「知らないが、Bランクということは、それなりに強いのだろう。」


「しらないだと?」


「あいにく、私はここに住んでいるものでもないしね。

久しぶりにここに来ただけなんだ。」


実際には、この王都に来ることは何回かあったが、それでも城下町まで下りるようなことはなかった。


「それはそうだ。

なぜなら、君みたいな魔族がこの王都に来てしまえば、僕みたいな特殊なスキルを持っているものにばれてしまうからな。」


実際、彼のスキルに関しては、結構特殊なものだろう。


ふつうは相手の魔力は見ることができても、その魔力だけで、魔族の物かはわからないのが普通なのだ。


「ちなみに、君がここまで魔族を嫌っている原因を教えてもらえるか?

この国では、魔族との戦争はしていないと思うのだが?」


「そんなことを言ったって、過去には戦争をしているし、今でも魔物の脅威は去っていないではないか!」


「何を言っているんだ。

魔族と魔物は全くの無関係だと最近の研究で明かされているだろう。

まさか、冒険者なのにそんなことも知らないのか?」


そのことは、国のほうが発表しているので、さすがに科学者でもない王都民でも知っていることだった。


「それを理由として魔族を殺そうとしているのなら、それが罪なき者を殺しまわるだけの悪になるがいいのか?」


今でも、前まであった宗教の影響で、まだ何となく魔族に対しての感情は悪いままだ。


しかし、それはだんだん解消されているし、王都民もさっきまでは魔族が魔力を隠したという発言で、何かしらのやましいことがあるのではないかと思って、警戒をしたが、そもそもの白銀の旋風の謎理論のほうに呆れ始めた人も現れ始めた。


「だとしても、魔族が魔物を生み出すケースもあるだろう!」


そう、魔族の中には魔物を生み出すことができるものも存在しているのだ。


「そして、君は魔力を隠そうとした。

これはほぼ何かしらを考えている魔族がやることだろう。


そもそもとして、魔族と疑われていること自体が違うのに。と思ったアインは、ここらでいい加減正体を明かすことにした。


「そもそも、君事態にそこまで力があるのか?」


「何を!」


「私たちはさっきも言ったけど、Bランククランのトップをやっているのよ!」


「そんなことはわかっている。

だけどそろそろいい加減邪魔になってきたから、帰らせてもらうよ。」


アインがそういうと、冒険者ギルドの中から、5人の冒険者が出てきた。


「お、おい。見てみろよ。」


「嘘!これから何か起きるんじゃないの?」


その5人は、基本的にソロ活動をメインにしている。


しかし、まれに一緒に活動することがあるメンバーだった。


彼ら5人が、一緒に行動するときには、たいてい大きな魔物を討伐しに行く時だった。


だからこそ、彼らが一緒に行動しているのを見て、近くで何かしらの問題が起こるのではないのかと思ったのだ。


「そこまでだ。」


彼ら5人のうち、1人がそのセリフを発したので、都民たちはこの仲裁に入ってくれるのか!

と思った。


しかし、実際には仲裁ではなかった。


「アイン様、何の騒ぎですか?」


「ああ、僕の魔力に魔族のものを感じたから僕を捕まえたいんだとさ。」


「アイン様、あなたはほかの魔力もあるでしょうに、なんでそっちを隠しているのですか…」


「別に隠してないよ。ただ、僕の魔力操作がうまいだけで、魔力の部分を隠すために、他の魔力を取り込んでいると思ったらしい。」


「そんなこと、普通の人間にできない時点で、おかしな点に気づかないのか…」


都民に関しては、えらく低姿勢な5人に対して、違和感を抱いた。


なぜなら、彼らは、普段は冒険者ギルドの中で最強のメンバーと呼ばれるほど、幅を利かせているメンバーだからだ。





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