第394話城の隠し倉庫


そして、リリスを送り届けた後、3人は1つの部屋に集まっていた。


「それで、2人はどうして泊まろうとしたの?」


正直、片方の理由はすでに知っているが、シルクのほうの理由はまだアインには分かっていなかったのだた。


「私たちは、両方、お父様からの命令ですよ。

それに、命令だと入っても、我々も今回の命令には積極的に参加しますけど。」


もともと、この2人もやりたかったことなので、2人は積極的にこの命令に従うのだった。


「そうか…まぁ、もう泊まることは決定してしまったんだし、いまさらそれをくよくよ言っている訳にもいかない。

急な話で、ちゃんとした準備は出来ていないと思うけど、それでも最大限歓迎するよ。」


しかし、ご飯は食べてしまったので、やることはすでになくなっていた。


「それでも、もう、ご飯も食べて後は寝るだけになっているから、お風呂にでも入ってきなよ。」


アインの城にある、風呂は、風呂というよりは温泉のようなものだった。


「そうね。

それじゃあ、入ってくるわ。

シルクはどう?」


「うん。私も一緒に入ろうと思う。」


「それじゃあ、行きましょうか。」


そして、アインが少しだけ口を出した。


「それじゃあ、着替えはお風呂から出てきた場所においておくから。」


アインのこのセリフに、2人とも反応した。


「アイン君?どうして貴方が女性用の服を持っているのかしら?」


「ハッ!確かにそうですね。」


シルクのほうは最初は気がついていなかったけど、セシリアがそういったことによって気がついてしまった。


「何でって…そりゃ、この城のメイド用の服をある程度備蓄してあるからだけど…」


アインのこの城はいつ人を雇うか分からない。


だからこそ、常に生活に必要そうなものは備蓄されているのだった。


そして、それはもちろん服もそうだった。


この城では大量の女性用の服がとある場所に収納されていて、その全てが新品である。


「そういうことだったの…それで、アイン君がどうしてそれを持ち出せるのかな?」


「いや、僕は取り出さないよ。もちろん、女性のメイドの方にお風呂まで持っていってもらうよ。」


実際にはアインにもその部屋へと入る権利はあるのだが、そんな事を今の2人の前で言ってしまえば、さらに騒ぎが大きくなってしまうだろうということで、アインはあえて言わなかったのである。


それに、実際にメイドに服を持っていかせようとしていたので、特に嘘をついているわけではない。


ただ、情報を全て言っていないだけである。


「そう…分かったわ。この城だったらそれくらいの仕掛けがあってもあまり驚かないし。

それじゃあ、私たちはお風呂に行ってくるから待っていてね。」


そう言って、2人は城内のメイドに案内されて、お風呂へと向かって行った。


(待っていてねって言われても、逃げ出すわけ無いじゃないか。)


アインもそんな事を考えながら、待っているのだった。


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