第368話新制度・新政府の兆し

「これで、武力によって逆らおうとするような愚かな者たちは消えたか…」


アインは、出来上がったしたいの山を見ながら、そうつぶやいた。


「しかし、このような出来事は再び起こるだろう。

何せ、魔族は基本的に好戦的だからな。」


実はそんなこともないのだが、今まで名を後世まで残してきたような魔族は、基本的に好戦的だったのだった。


(アイン様?いきなりそんな事を良い初めて…

今までそんなこと言ってこなかったじゃないですか。)


(まぁ、そうなんだけど、今回の出来事を受けて、本格的にこの問題をどうにかしなくちゃいけないなと思ってね。)


(珍しく、自分から動くのですね。)


(だって、国内の出来事を変えようとしたら、自分から動かないといけないじゃん。

それに、今回は、今までの僕のようにはやらないよ。)


(と、言うと、どういうことですか?)


(今までは、基本的に犠牲を少なくするようにしてきたけど、これからはそんな事を言っている暇はないと思うんだ。)


(アイン様らしくないですね。

まぁ、本来の王というのはこういうものなのでしょうが。)


(まぁ、今回の出来事が終わったら、いつも通り、犠牲を少なくしていこうと思うよ。

それでも、今回のは、反対するものの方が多いだろうからね。

しかし、これをやっておかないと、この魔国を安定できないかもしれないから。)


(で、具体的に何をするのですか?)


(ああ、今回は、魔国には無かった、貴族制度のようなものをつけてみたいと思う。)


(貴族…制度ですか…

それこそ、争いが増えると思うのですが…)


(増えるかもしれないけど、これをやっておかないと、地方のほうがおろそかになっちゃうからね。

それに、今回の本来の目的は、この魔族の皆の心の奥底に根付いている、実力至上主義をどうにかしたい。)


(しかし、アイン様自体がその制度で魔王になったではないですか。

それこそ、文句は多く来ますよ?)


(だろうね。今やっているのは、用済みになった制度を消そうとしているんだからね。

まぁ、それでもこれだけはやっておきたいんだ。)


(何故ですか?)


(簡単なことだよ。立場をはっきりさせておきたんだ。)


(立場ですか。確かに、この国にはそういった制度はありませんね。

魔王が命じた役職につくようなものでしたから。)


この魔国では、実力至上主義がすごく浸透しているので、それこそ、上のものの言い分は全て受け入れなくてはいけなかったのだった。


そして、この制度がなかなか廃止されなかった理由は1つ、この制度を定め、一番利益を有しているだろう魔王が一番強いからだった。


この制度に文句があったとしても、魔王には勝てない。


つまり、変えたいと思い、それを実行に移そうとすれば、物理的にボコボコにされてしまうのだった。


しかも、この制度を消そうと思った魔王は、消した後の自分の立場がどうなるのかが気になって、行動に移すことが出来なかったのだった。


しかし、アインは今回変えるに当たって、新しい制度とともに、初代王になることをその制度に組み込む予定だった。


そして、今は実力至上主義ということで、一番強いアインのこの案が取り消されることは無く、このまま執行まで行くのだった。

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