第306話決着のとき


あれから、他の8国も落とされていった。


「とりあえずは、何とか本国の方は落とせたな。」


アインは、これによって、新しく9国落としたことになる。


「いや、まだ戦争は続く。彼らには本国のほうから報告が行っていないのかな?」


アインが呼ぶ彼らとは、いまだにアインの分国を攻め続けてる連合国兵たちのことだった。


そして、アインの行った通り、彼らには、自国が落とされたことが伝わっていなかったのだ。


「まぁ、向こうが戦争の敗北宣言をしてくれなきゃ終わらないんだけど…」


こうして、この戦争はまだ続いていった。


しかし…


「おい、あまり食料が回ってこなかったぞ!どうなってるんだ。」


「なんか、今回は本国からの支援が無かったんだってよ。」


「は?戦っている俺らに対して何もなしかよ。」


「確かにひどいな。」


それは、支援がなくなったのである。


彼らには、今まで食事や武器などが本国のほうから送られてきて、それを使って戦っていた。


しかし、本国が落ちた今、そんな支援なんかあるわけも無く、連合国兵は困ったと思っていた。


だが、現実はこんなに甘くなかった。


数日後…


「おい!前回よりも少なくないか?」


「今回も本国からの支援が無かったんだよ!」


「は!?またかよ…」


連日、厳しい運動、そして、過不足な食事。


今となっては、餓死するものまで現れ始めた。


「おいおい。これはいったん本国に帰ったほうが良いんじゃないのか?」


「確かに…とりあえず、今日の分の戦いをやってからにしよう。」


そして、彼らは今日のノルマの時間が終わったら、いったん本国に帰ることにした。


しかし…


「何だこ…グハッ」


「こいつら、昨日までと全然強さが…」


そう、分国の兵に勝てなくなったのだ。


その理由としてはいくつかあるが、1つは、連合国兵たちが、食事不足によって、弱くなっていること。


そして、もう1つは、アインによって、今までは全力で戦うことを禁止されていたのである。


アインは、分国の兵に対して、今までは、全力で戦うなという、命令を出していた。


これは、分国兵が全力で挑んでも、その当時は数で負けてしまっていたからである。


しかし、今は違う。


今でも数では負けているが、連合国兵たちは、食糧不足によって、今までの半分も力が出せなくなっている。それで、もう分国の兵が全力で戦えば、数で押されることが無いと、アインが考え、全力で戦うことを許可したのだった。


今、彼らの間には1兵ごとに圧倒的な差ができていた。


彼らには、もう、敵を対処しながら逃げるような力も残っていなかった。


戦力差が大きいほど、戦争は速く終わる。


「君たちの負けだな。」


こうして、この戦争において、アインは十数人の本国兵は使ったが、ほとんど分国兵と支配国へ命からだけで、戦争に勝つことが出来たのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る