第265話裏の兵
そして、アインは早速、集めた兵たちを前線の国へと向かわせた。
「よし、後は属国の国だけなんだけど…」
「どうしました?」
「正直、そこまでの兵が必要なのかなって…」
「確かに、向こうの兵よりもこっちの兵のほうが多いですね。」
「そうなんだよね…」
「まぁ、今回の戦争に負けてしまったら、協力の大切さが結局伝わらないままになってしまうので、属国の兵も参戦させたほうが良いのでは?」
「それも、そうだね。それじゃあ、交渉してくるよ。」
そして、アインは各属国に対して協力を申し出た。
しかし、アインに逆らってはいけないと言うことを理解している属国は交渉なんかしないで、すぐに兵を渡してきた。
「ふ~ん。大丈夫なのかな?」
「何がですか?」
「こんなに簡単に自国の兵を渡してしまっている現状。」
「ああ、それに関しては大丈夫だと思いますよ。」
「何で?」
「属国になった国の王たちは、基本的に、アイン様との実力差を速めに気づけたものたちですから、基本的に逆らわないと思います。」
「逆らうとかじゃなくて、親のほうの国の王がお願いしたら、無条件で従ってしまうことだよ。」
「それに関しましては、多分自分の国を壊されたくないのではないですか?」
「でも、自立精神がなくなってしまうのは…」
「それは、属国になってから日が浅いと言うことで良いじゃないですか…それよりも、今は目の前の問題を・・・」
「それもそうだね。それじゃあ、送ってくるよ。」
そして、アインは属国の兵たちも前線に送った。
「よし、これで良いかな?」
「良いんじゃないですか?見に行きます?」
「そうだね。基本的な指揮はさっき言っていた直属の兵に任せているけど…」
そして、2人は前線へ向かった。
「これは…」
「見事に分かれていますね。」
そこには、国同士で分かれている兵たちの姿があった。
「ここまで、協力が取れないのか…」
「さすがに、ここまでひどいとは思っていませんでしたね。」
「まぁ、これからどうやってまとめてくれるのかを見ていこう。」
そしてしばらくすると、アインの直属の兵が出てきた。
「諸君、今回この戦争において、この軍を指揮することになった、イーサンだ。今回は君たちに協力して、敵国を倒してもらう。」
そういった瞬間、困惑の空気が出た。
そして…
「何で、他の国と協力をしなくてはいけないのですか?」
と言う、質問が出てきてしまった。
「そんなの簡単だ。君たちでは向こうの国には勝てないからだ。」
その声に対して、不満の声が上がった。
「勘違いはするな?君たちの中の1国で挑んでも勝てはしないと言うことだ。」
「そんなことは無い!我々には強い意志と、力があるんだ!」
「そんなことを言っていた国がすでに20ヶ国ほど滅ぼされているのだが?」
「そ、そんな。」
「それに、君たち一国の兵くらいは私1人でも倒せる。おとなしく従っておくんだな。」
そう言うと、数人の兵が動き出し、イーサンに襲い掛かった。
「そんな事いうなら、対処してみろや~!」
そんなことを言っていたが、襲い掛かった人たちは一瞬で消え去ってしまった。
「君たちに報告をしておく。私はアイン様のようにやさしくは無い。アイン様の命令に従わない者は塵1つ残さない形で処す。覚悟をしておけ。また、これで君たちとの実力差は分かったであろう。従っておけ。」
そして、それ以降は逆らう人は居なくなった。
「か、過激だね。」
「アイン様に逆らうものは消えたほうが良いと思っていますから。」
「これは何とかしたほうが…」
「安心してください。逆にアイン様の意見に逆らわないものにはやさしいですから。」
こうして、アインのやさしさの裏に、なめられないように支援している裏の兵もいるのだった。
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