恋のライバルは無邪気なあの娘

第31話 敵視

「はい!そこのステップはこう!」

オフも終わり、またアイドルの活動が始まった。

「駄目!こんなんじゃお客さんに魅せれないわ!」

「今日は一段とキツい気がするぞ……」

「当たり前よ!オフが何日も続いてたんだから!」

まあオフの間に幸せな思い出が増えたししっかり休憩出来たは出来た!

フルルが頑張るなら僕も同じくらい頑張る!ただそれだけ!


「お腹すいた~」

こんな厳しいレッスンの中でもフルルはマイペース。

「フルル……さっきじゃぱりまん食べてたわよね?」

「でもあれから食べてないもん……」

「仕方ないわね……」

そう言ってフルルが外に出ようとしたその時。


「お腹すきましたー?」


誰かの声が聞こえてきた。敬語だからジェーンかマーゲイかと思ったが、ジェーンとマーゲイは声のした方向とは違う方向にいる。じゃあ一体……

「んー?あなたは何のフレンズ?」

「飛んで泳いでチマチマ歩くパフィンちゃんでーす!プラチナチケットがあるので来ましたー!」

パフィン?見た目がみんなに似てるからペンギン……なのか?でも今『飛んで』って言ったよね?ペンギンじゃない……?

「あー……確かに練習見学付きですけれどそれ本当はライブのチケットなんですよね……」

「ライブですか?でも練習見学付き……」

「あ~、私は別にいいと思いますが皆さんは?」

「いいんじゃないかしら?」

「いいんじゃないかな?」

「いいんじゃないですか?」

「いいんじゃねーか?」

「いいんじゃな~い?」

僕も頷いた。


……けど、この娘を入れてまさかあんな事になるとは。


「そうですか!ではどうぞお入り下さい!」

「わーい!」

パフィンは真っ先に僕の方に来た。

「本物のフレンズ化してないペンギンだー!可愛いでーす!」

「ふぇ!?」

「パフィンちゃんはペンギンに似てると言われてまーす。だからペンギンはパフィンちゃんの先輩でーす!」

めっちゃ近づいてくる。フルルが不安そうな顔で言う。

「パ、パフィンちゃん……フルル達もペンギンだよ……」

「フレンズ化してないのもいいのでーす!なんならこの子欲しいでーす!」

「やめてよ~!」

僕も嫌がる仕草をするが、全然やめない。無邪気な笑顔で目を輝かせて僕をじーっと見つめる。


「あなた、気に入りましたー!」


この一言でフルルは少し怒った顔になった。

「大丈夫ですよ!プリンセスさんの時も平気だったし……」

ジェーンがフルルに言うが、フルルはただパフィンを恨めしげにじーっと見てる。

「でもまだ証拠不十分なので言わない方がいいでしょう!ただ友達フレンズになりたいだけでしょうし……」

「……そーかなー?」

幸いその声はパフィンには聞こえてない。パフィンは僕を色んな角度から見てくる。

「……グレープ。」

フルルはちょっと寂しそうに僕の名前を呼んだ。



僕はフルルの方が好きなのに。

僕とフルルは少し厄介な沼にはまってしまったようだ。










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