まさかの登場

第21話 登場

「ほら!練習するわよ!本番が迫ってるんだから!」

プリンセスはいつも厳しい。だが、それもきっとメンバーを思ってだろう。

「風が涼しくて気持ちい~。」

フルルが外に出る。

「フルルー、勝手に外出てんじゃねーよ……」

「でも春だからかな?最近練習すると汗をかくようになったよな」

あ……言われてみればそうだ。前まではあまり汗をかかなかったが、最近はかくようになった。汗をかいた時に涼しい風に当たると確かに気持ちいい。

「あ、春風も~……」

春風は温かくていい。つまりは春大好き。フルルの次に。


「ここかなー?」

「あら、お客さん?今はライブしてないのだけど……」

「あなた、何のフレンズー?」

みんなが唐突なお客さんに動揺しているのに対し、フルルは全く動揺していない。

「僕?僕はヒトですよ。」

「ヒト!?あれ、かばん以外絶滅して……」

「他の島から来たんですよ。他の島にはヒトがいっぱいいるんです!」

ヒト……動物園で僕を見てた動物。

あ、そーいや動物がヒト化した存在がフレンズって聞いたな……

このヒトはヒトのフレンズ?でもヒトのフレンズって有り得るか?それとも僕と同じようにフレンズ化してなかったり……

「まあ『ヒト』って呼ばれるのもアレだし『あんかけ焼きそばP』って呼んで下さい!長かったら『あんかけ』って呼んでいいですよ!」

「じゃ、じゃあ、あんかけさん……何故……」

マーゲイの疑問は僕の疑問と同じだった。


「何故ジャパリパークに来たのですか?」


「……」

「あ、答えれなかったらいいで……」

「よくぞ聞いてくれましたっ!!!」

あんかけは自信満々な表情をしている。

少し驚く一同。

その横で全く動じないフルル。フルルすげぇ。

「ジャパリパークに来た理由はズバリ!あなた達に会いに来る為です!」


あんかけは僕とフルルを指さした。


「……ふぇ?フルルとグレープに会いに来たの~?」

「僕はあなた達のファンなのです!」

ファン?僕達の?

「ジャパリパークの外の世界ではこの2人が有名です。有名なものにはもちろんファンもいるでしょう。僕はその中の1人です!外の世界にはGWという休暇があります。その休暇を使って会いに来た、というわけです!」

「ごーるでん……?よく分かんないけど、お休みが何日か続いたからそれを使ってフルルとグレープに会いに来たんだね?」

「その通り!だからGW中はここにいさせて下さい!」

「……フルルとグレープに決めてもらうわ。」

え!?僕達が!?

「フルルはね~……


……別にいいと思うよ!」

「本当!?」

「グレープもそれでいい?」

(あ、別にいいよ。)

「決まった!ここにいていいって!」

「よっしゃ!」

「確かにこの2人は夢がありますね~……ふふっ」

「うん、この2人本当尊い。」

性格がマーゲイと似てるが……マーゲイほどではないか。



今日は新しい出会いがあった。

僕とフルルのファンだって。本当に僕達は有名なんだね……

今、外の世界はどうなっているのだろう?












  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る