第52話 非難
6月の席替えで、バラバラになった私たち4人だったが、10月の席替えで私と彩音は一緒の班になった。
今回は5人の班だった。男子が2人と、私と彩音と、あとは女子が1人。
彩音に仕返しのようなことをしてしまったと、反省している私は、どうにかして彼女と話そうと思った。
しかし。
席替えをして初めての給食時間中、私は退けられていた。
昨日のドラマや、芸能人について話している2人に声をかけた直後の、あの間。時間が止まったように、露骨に声を止めて、こちらを一瞥するかと思いきや、再び2人で話し続ける。 となりで、ひそひそとアニメの話をしている男子も、こちらを気にしていないふりをしているが、気にしているのがバレバレだ。
その空気が、班から教室全体へと伝染していく。
ふと、気付くことがあった。
私をちらりと見ては目を背け、そんなことを繰り返しながら、こちらに聞こえるか聞こえないかの声を発する、周りの人間たち。
一方で、友永はこちらを見なかった。
そういえば、彩音を振った友永に告られて付き合った2週間前から、様子がおかしかった。
休み時間中に女子に話した時の、相手の何か気を使うようなよそよそしい反応。
移動教室時、私に声をかけず、そそくさと教室を出た、仲のいい女子たち。
どうやら私は、ハブられているみたいだ。
健気な幼なじみの、潔癖な恋路を踏みにじった下衆な女、そんな具合で陰から非難されているところだろう。
仕方がないので、1人で黙々と食べることにした。
話さずに食べているものだから、早く食べ終わってしまい、残り20分も持て余した給食時間は、退屈と窮屈を極めた。気分が悪そうに下を向いたり、4限の数学のノートを開いて授業の内容を確認するふりをして過ごす20分は、虚しいことこの上なかった。彩音にとっては滑稽以外の何物でもなかっただろう。
2時間ぐらい誰かと喋るよりも長く感じる。
こんなことがずっと続くのか、そう思うと、心を紐のようなもので軽く縛られるような、じわじわとした徒労感に苛まれた。
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